プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は洗剤ブランド「アリエール」のキャンペーンで、パーセプションの大きな変化を消費者に起こした
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は洗剤ブランド「アリエール」のキャンペーンで、パーセプションの大きな変化を消費者に起こした

 「ブランド」と「パーセプション」。この2つの概念の関係性について、マーケターや広報担当者であれば理解しておく必要がある。実際、世界の広告・PR業界でも、「ブランドとパーセプション、どちらが先か」といった議論は、これまで盛んに行われてきた。ここではその話をしよう。

 まずは下の図を見てほしい。この図は、ブランドとパーセプションという概念の違いと、その相関をシンプルに示している。

「ブランド」は企業視点で伝えたいこと、「パーセプション」は消費者視点での認識。その重なり合う部分に「オーセンティシティ:ブランドの正当性」がある
「ブランド」は企業視点で伝えたいこと、「パーセプション」は消費者視点での認識。その重なり合う部分に「オーセンティシティ:ブランドの正当性」がある

 ブランドの由来は家畜を識別するために押した「焼印(brand)」であることはよく知られている。マーケティング業界の権威であるフィリップ・コトラー教授は、語源を基に競合との差異化という観点を加えて定義している。

 「ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」

 ブランド論を展開し出すとキリがないが、ブランドという概念の大きなポイントは「区別・識別」と言えよう。そして、より重要なポイントは「主体が企業側である」ということだ。ブランドを認識するのは世の中や消費者側だが、何らかの事業目的に沿って、ブランドを確立したいのは、当事者である企業なのだ。ほぼ例外なく、ブランドの成功と企業の理念は密接な関係にある。ブランドの本質は、つまるところ「あなた(企業)が大事だと思うこと」なのだ。

 これに対して、パーセプションはその対極にある。あなたがどう思われたいかがブランドだとすれば、パーセプションとは「世の中や消費者があなたをどう見るか」である。そこにはギャップが生じやすい。「こうだと信じてやっているのに、どうして皆は分かってくれないのか」。新社会人の愚痴のようにも聞こえるが、それこそがブランドとパーセプションが引き起こすジレンマであり、多くの企業や組織におけるマーケティング課題だ。

 さらに言えば、ブランドとパーセプションは起点こそ違えど、相互に大きく影響を与える。ブランド戦略がパーセプションに変化を及ぼすことがあれば、パーセプションの影響でブランド価値が高まったり、毀損されたりする。とりわけSNSの普及後は消費者の声が大きくなり、パーセプションがブランドに影響を及ぼす傾向がより顕著になっていると言えるだろう。

 最後に注目してほしいのが、図の中心にある、ブランドとパーセプションが重なり合っている部分だ。これは、いわゆる「オーセンティシティ(Authenticity:ブランドの正当性)」と呼ばれる。「あなた(企業)が言いたいこと。行動していること」と「あなた(企業)が世の中からどう認識されているか」が合致していることを意味する。平たく言えば、利害関係者みんなにとって「腹落ちがいい」状態とでも言おうか。

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