菓子メーカーのおやつカンパニーは「ベビースターラーメン」のパーセプションを「まもり」ながら、同時に新たな客層を獲得するためのマーケティング施策に取り組んでいる
菓子メーカーのおやつカンパニーは「ベビースターラーメン」のパーセプションを「まもり」ながら、同時に新たな客層を獲得するためのマーケティング施策に取り組んでいる

 ブランドや企業は長く続けていると、自然と「守らなければならないパーセプション(認識)」が醸成される。しかし、創業時と世情は変わる。自分自身で築き上げてきたパーセプションが足かせとなり、ブランドの老朽化につながりかねない。これはロングセラーブランドや老舗企業に多い悩みでもある。ブランドや企業の持続的な成長には、自分自身で築き上げてきたパーセプションの見直しが課題になる。

 この場合、ポイントは時間軸になる。なぜなら敵は過去の自分であり、未来の自分の創造が目的になるからだ。パーセプションを形成する5つの要素でいえばタイミング。タイミングとは、社会の大きな潮流や時流だ。そうしたトレンドは外的要因として企業や商品のパーセプションに影響を与えるので、世の中の空気の現状と、今後どの方向に向かうべきなのかを見極める必要がある。

 同じ企業が同じことをやっていても、同じブランドが同じような打ち出し方をしていても、タイミングによってパーセプションは変わる。自分が敵のときは、時流という外的要因、つまり「時勢の見立て」が大事になる。まず世の中の動き、時勢の見立てがあり、だからこのパーセプションを守る、あるいは変える戦略が決まっていく。

 既存のパーセプションを「まもり」ながら、新たなパーセプションの獲得を目指す。そうしたマーケティング戦略を進めているのが、おやつカンパニー(三重県津市)の菓子「ベビースターラーメン」だ。同社はレシピに活路を見いだした。Webメディアと取引先のスーパーの店頭を組み合わせたキャンペーンでは、販売個数を前年同月比で11%増やした。

 長年親しまれてきた老舗ブランドを擁する日本企業は多い。そうしたブランドは時代の変化に合わせて、何をどのように守るべきかがよく議論される。

 老舗ブランドとパーセプションの関係は厄介だ。その難しさを一言で表せば「ジレンマ」だろう。老舗であるがゆえに、守らなければいけないパーセプションは必ず存在する。しかし、それを守ってばかりの保守的なブランド戦略では「時代おくれ」「古臭い」というパーセプションを持たれ、「若者の○○離れ」の格好の的になる。守るべきものは守り、一方で守り過ぎてもいけない。そうしたバランス感覚が求められる。

 ベビースターラーメンも、約60年にわたり消費者から愛されてきた。おやつカンパニーは創業者の松田由雄氏が、前身となる松田産業有限会社を設立し、即席麺を販売したことから始まった。即席麺は製造工程上どうしても、商品にならない細かい麺が大量に出てしまう。それではもったいないと工場で割れた麺を集めておき、味付けして休憩時間のおやつとして従業員に提供されていた。言ってみれば賄い飯ならぬ賄いおやつだ。これがベビースターラーメン誕生のきっかけだ。

 その味付け麺のおいしさが社内で評判となり、1959年に「ベビーラーメン(小さい麺)」として商品化してブランドが誕生した。73年に「ベビースターラーメン」へと改名。改名には子どもにとってのおやつの一番星になってほしいという、創業者の思いが込められている。

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