企業や病院など、長年、赤字が続いた企業や組織の経営を次々と任され、すべて立て直すという驚くべき手腕を発揮した経営者がいる。現在、JR貨物の相談役を務める石田忠正氏だ。石田氏は体験を重ねる中で、「業界や組織が違っても、経営の基本は同じだと確信した」と明かす。「全ては人。人の意識・意欲と知力が原動力だ」(石田氏)。では、どうやって行く先々で社員の心に火をつけ、組織風土を変え、化学変化を引き起こし、黒字化を達成してきたのか。石田氏が自ら執筆する。(写真=shutterstock)
シリーズ
企業は甦る~社員の心に火をつける改革

全14回
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[新連載]日本企業「失われた30年」からの脱却はもうラストチャンス!
企業や病院など、あらゆる組織を立て直した石田忠正氏が自ら執筆する新連載。一人ひとりに「気づき」を促し、企業風土を変え、行動を引き起こし、化学反応の連鎖でエネルギーを結集・拡大し、目標を突破していくか。すなわち、全員参加の…
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企業の立ち上げと早期黒字化の実現~NCAのケーススタディー
経営再建のプロ、石田忠正・JR貨物相談役による連載の第2回。今回は日本郵船の後、私が最初に経営再建に取り組んだ、日本貨物航空(NCA)での経験を基に、経営を自立化させたケースを取り上げる。
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国内トップクラスの大病院がなぜ慢性赤字? 素朴な疑問から再建を推進
日本貨物航空(NCA)の自立化の仕事を終え、私が次に取り組んだのは、公益財団法人がん研究会(通称、がん研)の再建だった。がん研は110年以上の長い歴史を持ち、最新の施設・設備と医療体制を誇る国内最大のがん専門病院・研究所…
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慢性赤字の大病院で、医師も研究者も全員参加の改善運動が始まった
医師、研究者、技師、看護師、事務職など、職員を巻き込んだ合宿を実施してから、がん研内部の雰囲気は明らかに変わった。合宿に参加した職員を中心に、チームが結成され、自発的な改善活動が広まったのだ。
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病院の危機を共有。赤字の実態を知り、医師たちの目の色が変わった
赤字続きの病院経営において、もっとも重要な課題は、収支の改善だった。だが改革に取り組んだ当初、赤字解消や収支改善の話をすると、医師たちから「金もうけのために働いているのではない」といった意見が上がったり、研究者からは「研…
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JR貨物、転機の「合宿」。再建に向けて幹部に火がついた瞬間
石田氏にJR貨物の経営再建に関する依頼が届いた。実質上の株主である国から、厳しい国家財政の環境下このまま赤字を垂れ流すようでは国民の血税を振り向けることはできない、4年以内に鉄道事業赤字を解消するように、との厳しい内容だ…
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全幹部が退路を断って臨んだJR貨物「鉄道事業の黒字化」
幹部合宿から始まった経営改革のうねりは全国に広まりつつあったが、私たちの使命は本業たる鉄道事業の万年赤字からの脱却である。脱却はできないと思えば、これまでのように10年たっても20年たってもできない。そこで、不退転の決意…
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社員の努力で、万年赤字の貨物鉄道が総合物流のキープレーヤーに
JR貨物の長年の課題だった鉄道事業の赤字脱却のため、全幹部、さらに全社員が力を合わせて「計数管理改革」や「営業改革」に取り組んだ様子を前回、ご紹介した。そして第3の経営改革の柱であり、企業風土の刷新にもつながるのが、今回…
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独身寮、労働組合、業務改革運動……「人」を鍛える職場の体験
外部環境が激変する中、衰退を続ける日本企業の大改革が必要であることは間違いないが、日本的経営が持つ「強み」には、今なお生かすべき点も多少なくない。変えるべきは変え、生かすべきは生かす方向で、経営を再構築することが企業再建…
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中間管理職は会社の主力エンジン。現場力高め、上層部巻き込め
課長職など中間管理職は、現場社員からの突き上げと上層部からの指示の板挟みになることも少なくない。だが見方を変えると、現場の奮闘をチームリーダーとしてサポートしながら、強みを引き出し、上層部を巻き込んで働きがいのある職場を…
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国際競争で学んだ真実「生き残るのは自ら変化を遂げる企業だけ」
日本企業は内向きと言われるが、特に最近の若者はその傾向が強いようだ。だが、ビジネスパーソンは世界情勢や関連産業の状況をつかみながら、自分なりのビジョンを持って目の前の仕事に取り組むことが重要だ。1つの産業における栄枯盛衰…
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部下の気づき・行動・達成・成長を促す。それができてこそ真のリーダー
目標が最終的に達成されるか否かは、実務担当者が目標を理解・共有し、本気で取り組むかどうかにかかっている。これがトップダウンとボトムアップの融合の重要なところだが、成否の鍵を握っているのは、現場のリーダーである中間管理職だ…
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経営者、幹部社員に問う。会社の改革に挑む覚悟はあるか?
企業は常に顧客に選ばれ続け、利益を上げて雇用を質量ともに拡充し、社会を豊かにしなければ存在意義はない。それを実現するために、自ら変わり続けねばならない運命にあるのだ。各企業の底流にある古い組織風土を壊さない限り何も変わら…
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甦れ、日本! 産業革新、人材活用、自由貿易…日本再生への5つの提言
産業の再活性化に向けて官民挙げて努力し、さらに世界に期待される日本の外交力・リーダーシップをフルに発揮すれば、国際貿易の回復と共に、失われた30年からの脱却を実現し、世界の平和と発展に大きく貢献することさえできるはずだ。
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全8回