米テックジャイアントの成長性に疑問符が付く決算となった。Alphabet(アルファベット、グーグルの親会社)、Microsoft(マイクロソフト)、Meta(メタ)、Apple(アップル)、Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)の2022年7~9月期決算が、米国時間10月27日までに出そろい、アップルを除く4社が前年同期比で減益となった。

 景気に左右されやすい広告事業の落ち込みはある程度は想定されていたものの、「ドル箱」といわれてきたクラウド事業の成長鈍化が市場の期待を裏切った。米国経済をけん引する巨大IT企業の失速は一時的な現象で済むのだろうか。アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベットのクラウド3強の決算から今後を占ってみよう。

アマゾン「我々にとって初めての経験だ」

 アマゾン・ドット・コムが10月27日に発表した22年7~9月期決算で、売上高は前年同月比15%増の1271億100万ドル(約18兆5900億円)だった。一方、営業利益は48%減の25億2500万ドルとなり増収減益となった。同社の株価は翌日までに前日比で11%下落している。

 特に投資家を失望させたのが、クラウド事業であるAmazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス、AWS)の成長鈍化。直営インターネット通販事業と並び、同社の中核事業に成長している。世界シェアはトップで、営業利益ベースではアマゾン・ドット・コムの稼ぎ頭だ。セグメント売上高は前年同期比27%増の205億3800万ドルと伸びたものの、市場予想に届かなかった。期待されていた分、先行きの不透明感を懸念した売りが膨らんだ格好だ。

アマゾン・ドット・コムのAWSも成長が鈍化している(写真=Thomas Trutschel/Photothek via Getty Images)
アマゾン・ドット・コムのAWSも成長が鈍化している(写真=Thomas Trutschel/Photothek via Getty Images)

 新型コロナウイルス禍が後押しした企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗り、米テック大手のクラウド事業はこの数年、ドル箱と化していた。アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベットの3強は7~9月決算の会見で、口をそろえたかのように「景気減速がクラウドの成長を妨げている」と指摘した。

 アマゾン・ドット・コムのブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)はオンライン決算説明会で、金融、住宅ローン、暗号通貨などの業界で需要が減少しているとし、「基本的に顧客は節約したいと考えており、我々はその選択肢を用意している」と説明した。四半期の後半になるにつれ、収益が落ち込んだという。

 一般的にクラウドは企業向けのインフラサービスが主力であり、広告事業などに比べて景気に対するボラティリティは小さいとされてきた。

 オルサブスキーCFOが指摘するように、市場の一部関係者の間では、過剰なクラウド投資に対する懸念が生じ始めている。ある日系製造業大手のシステム担当者は「もともとオンプレミス(自社所有)をクラウドにしたのは、設備投資をスリム化するためだった。切り替えが一巡し、22年に入ってからはクラウド自体のコストカットが議論されるようになった」と打ち明ける。

 エネルギーコストの上昇も理由の1つだ。電気や天然ガスの価格が高騰し、「この数年で2倍になった。これがAWSにとって初めての経験だ」(オルサブスキーCFO)。

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