可視化を求めるのは企業経営者に限らない。あらゆるモノがネットにつながるIoT技術の進展とともに、驚くような領域でも見える化技術が広まってきた。漁業からテレビCM、においなどの五感、素材の研究開発まで、幅広い領域で大量のデータを可視化する動きが相次ぐ。そんな最前線のツール10選を紹介する。

 スマートフォンをのぞくと、海を気ままに泳ぐ魚の体長がリアルタイムに表示される。水産養殖で重要な経営指標となる魚の成長状況の確認はこれまで手作業で行われてきた。これを自動で可視化したのが水産スタートアップのウミトロン(東京・品川)だ。いけすに潜り込ませた小型カメラが独自の解析アルゴリズムで魚の体長や食欲などの情報を収集し、水産養殖の生産性向上を手助けする。

いけすに潜り込ませた小型カメラで魚群を撮影する「ウミトロン・レンズ」
いけすに潜り込ませた小型カメラで魚群を撮影する「ウミトロン・レンズ」

 労働集約型でデジタル化からほど遠いイメージが強かった第1次産業。しかし、人手や後継者不足を背景に、急速に可視化技術が広まっている。

 huntech(ハンテック、東京・目黒)は、高品質な狩猟肉の提供につなげるユニークなスタートアップ。捕獲・加工情報のプラットフォーム「ジビエクラウド」を展開する。わな猟用のセンサー「スマートトラップ」と連携し、狩猟データを可視化する。

捕獲・加工情報のプラットフォーム「ジビエクラウド」を展開。獲物の捕獲場所などを可視化できる
捕獲・加工情報のプラットフォーム「ジビエクラウド」を展開。獲物の捕獲場所などを可視化できる
[画像のクリックで拡大表示]

 産業用無人ヘリコプターと林業を結び付け、可視化の新領域をひらいたのはヤマハ発動機だ。ヘリの撮影を通じて、森林全体を精緻に3次元デジタルデータ化する。データはクラウドに保存し、森林の生育状況をスピーディーに把握することで林業の生産性を高める。

ヤマハ発動機は産業用無人ヘリコプターを使って撮影し、森林全体を精緻に3次元デジタルデータ化する
ヤマハ発動機は産業用無人ヘリコプターを使って撮影し、森林全体を精緻に3次元デジタルデータ化する

次ページ 「におい」「音」も見える