ビジネスパーソンが会社にどれだけ貢献意欲を持っているか。抽象的な概念の上、目に見えず、数値化しづらい。ただ、企業や組織だけでなく、働く個人にとっても重要な指標であることは間違いない。これを可視化し、経営に生かすのが、ソニーグループや静岡銀行だ。

 ソニーグループは従業員の会社への貢献意欲=エンゲージメントの可視化に挑んでいる。BE Heard(ビー・ハード)と呼ばれる人事情報システムなどを使い、全世界約11万人の従業員を対象に年1~2回のアンケートを実施し、一人ひとりの「エンゲージメント率」を集計し、動向を測っている。

 エンゲージメント率とは企業と従業員の結び付きの強さを示す指標で、スコアが高いほど、生産性の向上や離職率の低下につながるとされる。2019年度に85%だったエンゲージメント率は、21年度には89%にまで高まった。今年9月15日にソニーグループが開いたサステナビリティ説明会で、人事や総務を担当する安部和志・執行役専務が「人事施策の集大成」と述べるほど、同社は重要視している。

 ソニーの本気度を示すのは、エンゲージメント率が役員報酬と結び付けられている点だ。上級役員の役員報酬には、1割超の業績連動報酬が含まれる。その評価指標の一部にエンゲージメント率が採用されている。従業員の満足度の高い組織づくりが役員のインセンティブになる。

ソニーグループの吉田憲一郎・代表執行役会長兼社長CEO(最高経営責任者)を含めた上級役員は、業績連動報酬における評価対象の1つにエンゲージメント率を採用している(写真:Justin Sullivan / Getty Images)
ソニーグループの吉田憲一郎・代表執行役会長兼社長CEO(最高経営責任者)を含めた上級役員は、業績連動報酬における評価対象の1つにエンゲージメント率を採用している(写真:Justin Sullivan / Getty Images)

 従業員へのアンケートはどのようなものなのか。

 「働きがいはあるか」「キャリア成長ができているか」「職場の価値観にどれくらい共感するか」――。働きがいや個人の成長の実感、職場の価値観への共感度合いなど、40問前後の設問に答えてもらい、個人のエンゲージメント率を集計している。

 その上で社員のエンゲージメント率と各設問の因果関係について、数理的手法を用いて分析する。回答データを個別の部署ごとにブレークダウンして組織の課題を精査することも可能だ。

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