組織のありようも、1種類にとどまるわけではない(写真=PIXTA)
組織のありようも、1種類にとどまるわけではない(写真=PIXTA)

「組織とは何か」という問いに対する考え方は常に進化を遂げてきた。近著『Reinventing the Organization:How Companies Can Deliver Radically Greater Value in Fast-Changing Markets 』(Harvard Business Review Press, 2019年)を基に、米ミシガン大学のデイビッド・ウルリッチ教授が考察する。

 組織は、仕事、健康、学習、社会、精神など、私たちを取り巻くほぼすべての側面を形作っている。組織は、個人の信念を他者のための価値につくり変え、個人の願望を皆で取り組むアジェンダ(課題)とし、個人の考えをまとまった成果に変えて提供し、個別の行動を持続的なパターンに変えるのだ。

 例えば、「地球上で最も幸せな場所」をうたうディズニーランドの価値は、ゲストとして筆者たち夫婦が訪れ、孫娘たちがシンデレラに出会って大喜びする姿を見る際に、筆者たちにとっての価値を生み出す。

 孫娘たちは楽しそうな目で振り返り、「おじいちゃん、本物のシンデレラよ......それに、きれいね。ありがとう!」うれしそうに言う。筆者たちの幸せは、彼女たちが喜んでくれたことで一気に倍増する。そうして、ディズニーという組織の価値は、ゲスト(顧客)にとって持続的な価値を生み出すのである。

 組織が個人の体験に影響を与えることは、既存の研究によって確認されている。筆者たちは、「Victory Through Organization」という研究において、1200の組織ユニットと3万2000人のデータを収集した。その結果、組織(文化、能力=apability、職場、プロセス)は、個人(才能、能力、労働力、人)の4倍もの影響を業績に与えることが分かった。同様に、米国のアカデミー賞では、主演男優賞や主演女優賞を受賞した個人の約20%が、作品賞を受賞した映画に出演している。バスケットボールやサッカーなどのチームスポーツでは、得点王を有するチームが優勝する確率は約20%である。個人もチャンピオンになれるかもしれないが、チームとしてはチャンピオンシップの覇者になるのだ。

組織とはどのようなものなのか?

 組織は長きにわたり重要であり、今後も重要であり続けるが、「組織とは何か」という問いへの答え方は進化している。この進化を理解することは、リーダーが適切な組織をつくり、従業員が自身のキャリアを管理し、顧客がサプライヤーと提携し、投資家が組織を評価する上で役立つだろう。

 図1は、組織に関する考え方の変遷を概観したものである。何十年もの間、組織を描くようにと言われれば、ピラミッド型のような「階層構造」を描くのが常であった。この論理は、安定性、キャリアの流動性、そしてプロセスの改善をもたらすものであった(1)。リーダーは役割分担を明確にすることで権限を与え、リエンジニアリングでプロセスを改善し、専門性を高めることでキャリアパスを決定した。

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