配られた手札より、持っているカードをどう使うかが重要(写真=PIXTA)
配られた手札より、持っているカードをどう使うかが重要(写真=PIXTA)

科学的に、戦略的に幸運をつかむには、どうマネジメントすればよいのか? 「科学的な幸運管理法」を考察する連載の最終回。よく観察してみると、他人より運が良さそうに見える人には、必ずあなたにはない幅広いネットワークがある。座して待つべからず。さあ、社外に出て知り合いを増やし、「マイ・スマート・ラック」を構築しよう。

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実践的アドバイス:戦略における統計的な強みを見つけること。ゴールへのシュート数が不十分なために失敗するリスクを理解すること。ビジネスプロジェクトの進行状況を調べ、イノベーションの漏斗(ろうと)が活動や時間にわたって十分に分散されていることを確認すること。

6. より広いネットワークを構築する

 自分1人で人生を切り開ける人はほとんどいない。チャンスは親、教師、コーチ、同僚、上司、友人、ロールモデル、そして職場、家庭、学校での偶然の交流などからやってくるものだ。マルコム・グラッドウェル氏が『ティッピング・ポイント――いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』(飛鳥新社、2000年)で指摘したように、人脈を増やすと、成功する確率が指数関数的に高まる(15)。

第一印象で人を判断しない

 ビジネス上の知り合いが20人しかいないなら、100人に増やすために外に出かけよう。あまり気乗りがしないレセプションに出たり、一見地味そうな市民団体や委員会に参加したりしよう。とにかく出かけていって、「水」と「油」を混ぜ、自分を感化されやすい状態にする。第一印象で人を判断せず、忍耐強く振る舞うことを忘れずに。

 いったん幅広くて多様なネットワークを手に入れたら、身近な人たちに囲まれて居心地のいいど真ん中の場所だけに目を向けるのではなく、端っこの目立たない場所にアンテナを張り巡らせることを忘れないでほしい。ネットワークの中でのあなたの位置は、ネットワークの広さに負けず劣らず重要だ。

 あなたは、片足を1つの世界に、もう片足を別の世界に置く「境界をまたぐ人(バウンダリースパナー)」だろうか? 物理学者のフランシス・クリック氏と生物学者のジェームズ・ワトソン氏がDNAの二重らせん構造を発見したように、偉大な革新者はしばしば分野間の交差点で活動するものだ。2人は遺伝学と結晶学における他の学者の研究を土台にして、ノーベル賞につながる発見をしたのだ(16)。

 たとえ二流のプレーヤーとしてでも、多様なネットワークに参加することで、自分の専門分野だけでは見えてこないものが見えてくるはずだ。社会学的な研究では、弱いつながりの大切さが強調されており、ビジネスでは親しい友人よりも単なる知り合いの方が重要な場合が多いとされている(17)。

 こうした緩やかなつながりは、提携パートナー、販売業者、サプライヤー、その他の関係者との橋渡しになり、多ければ多いほど良い。受け取る以上のものを与えることは、人脈づくりに有効であることが証明されている。よほどのことがない限り、ほとんどの小さな依頼にはイエスと答えよう(18)。

実践的アドバイス:現在のネットワークで自分が十分な立ち位置にあるのか、それとも一部を拡大すべきなのか。拡大するなら社内と社外の両方のネットワークを検討しよう。そして、新しいアイデアや才能、弱いシグナルを見つけるための方法(電話、昼食会、会議)を考えよう。

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