アトツギの新事業に期待する声は年々高まっています。「アトツギベンチャーが今後大きなセクターになる」。こう話す資産運用会社、レオス・キャピタルワークスの藤野英人会長兼社長はその一人で、各地のファミリービジネスにも通じています。藤野さんには、私が代表理事を務めるベンチャー型事業承継において顧問を務めていただいています。アトツギの抱える課題や地域との関わりなどを語っていただきました。

藤野英人氏
藤野英人氏
1966年富山県生まれ。90年に早稲田大学法学部卒業。資産運用会社のファンドマネジャーを経て、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。投資信託「ひふみ」シリーズの最高投資責任者。著書に『プロ投資家の先の先を読む思考法』など

山野千枝(以下、山野):各地のファミリービジネスなどについても詳しい立場から、アトツギが新事業で成功するにはどんな点がポイントだと考えますか。

藤野英人氏(以下、藤野氏):ファミリービジネスには、メリットとデメリットが背中合わせになっているところがあります。ですから、そのバランスがすごく大切です。メリットは家業であるため、アトツギが新事業に取り組むにあたって「地ならし」してくれたファミリーがいることです。このことは明らかに資産なのですが、一方でそれがアトツギにとってはしがらみにもなります。資産としがらみの間に立ち、苦悩を抱えるのが典型的なアトツギだと思います。

山野:周囲のアトツギを見ていると「本業と新規事業」「家業らしさと自分らしさ」「会社の歴史と未来」の間を絶えず行き来していて、反復横跳びをしているような印象があります。

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