ある日届いた『親不孝介護』の感想メール。送り主は以前、「日経ビジネス アソシエ」で一緒に仕事をしたファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんでした(こちら)。深田さんも義理のご両親の介護に直面していたのです。ならばご自身の介護体験も語ってもらおうと、今回の対談が実現しました。(司会は編集Y)
深田晶恵さん(以下、深田):いい本を出版していただいて、ありがとうございます。編集Yさん自身の事例があるので読みやすくて、それを川内さんが汎用性のある考え方に開いている構成がすごくいいですよね。たくさんの人に役立つと思います。私も5冊買って、介護が始まった友人に配っています。
NPO法人となりのかいご代表・川内潤さん(以下、川内):それはもう、編集のYさんが赤裸々に体験を書いてくださったおかげで。
お恥ずかしい体験をさらしてしまいましたが、編集者としてはこれ以上ないお褒めの言葉をいただき、舞い上がっております。『親不孝介護』をお読みになった深田さんが私に感想のメールをくださったことがきっかけで。メールの中に、深田さんも介護を体験されたことが書いてあったので、「介護とお金」の問題をうかがえるかなと、ずうずうしく対談をお願いした次第です。
介護と病気が一度に来た

深田:私が直面したのは介護というよりも、看護のほうが近いですね。新型コロナウイルス禍が始まった時期に、義理の両親の介護と認知症が2人いっぺんにやってきました。
義母は、2019年の11月ごろに消化管間質腫瘍(ジスト)という消化管の壁にできるがんが見つかり手術をしました。当時85歳でした。10万人に1人か2人くらいしかならないがんで、ショーケン(俳優の故萩原健一氏)がなった病気です。今は、患者が80歳を過ぎていても、医師は手術する方針をとりますね。病院通いは私がずっと付き添っていました。
ところが、手術のための入院中に病棟でインフルエンザがまん延して、面会禁止に。義母と同室の人がインフルエンザになって4人部屋から個室に移され、1週間誰とも会話しないでいたら、すっかり認知症になってしまった状態で退院してきました。幸い、がんは手術で取り切れたのですが、その後、コロナ禍に突入して、緊急事態宣言発令の頃にはかなり認知症が進んでしまいました。そして、20年の年末にがんが再発したのです。
ああ……。
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