(前回から読む→「介護職員に『大学はどこ出たの』と聞く親って大丈夫?」)
編集Y:子育て共働き中のキャリアウーマン、Mさんに『親不孝介護』を読んでいただいた感想を伺ってきました。
Mさん:第1回(「『勝ち組夫』の介護への暴走、妻はどう止める?」)でも言いましたけれど、うちの夫は、大きな挫折もなく、あえて言えば私と結婚したことが人生最初の挫折で(笑)、親子関係もとてもこまやか。成功体験しかないから、おそらく、親が要介護になったら、この本にある典型的な「仕事のできるビジネスパーソン」がハマるコースをたどると思うわけです。
編集Y:つまり、仕事や家族を顧みず、お母さんの介護に先頭きって飛び込んでいきかねないという。
Mさん:そうそう。
編集Y:今年は久しぶりに帰省した方も多そうですし、親御さんにしばらく会わないでいる間にお年を召されて「あれっ」と思った方もいそうですよね。
Mさん:嫌なこと言いますねー。
川内:「あれっ」の印象が薄れないうちに、『親不孝介護』にも収録しているチェックリストを使っていただくといいですよ。この中で濃い色の枠に○が3つ以上入ったら、ためらわず、親御さんの地元の包括(地域包括支援センター)に連絡してください。とにかく、早期発見と公的介護との早期連携。介護を楽にする最大の方法です。
編集Y:これは多くの方に知っていただきたいので、リンクでご紹介しちゃいましょう。「親にチェックが3つ以上付いたらすぐ「包括」に電話!」の記事にも収録しているので、お役立てください!
夫が「親孝行」にハマりそうになったら?
Mさん:で、もし、夫の母親に要介護の兆候が見えた、とか、それについて夫が「親孝行」の意識で、率先して自ら親の面倒を見ようとし始めたら、妻としてはどうすべきか、なんですが。
川内:自分が見た例から言えば、そのときに妻のほうからは夫に何もアプローチしないほうがいいです。
Mさん:夫の行動にあれこれ言うべきじゃないってことですね?
川内:そうです。例えば夫が介護で苦労している場面では、妻のほうが客観的になれるので、状況がよく見えるんですね。ですので、夫のために「もっとこうしたらいいじゃない」とか、「そういう言い方をするからお母さんだってきついことを言い返すのよ」とか、言いたくなると思います。でも、それを言うのではなくて、「え、どんなことがあったの?」「大変だった?」とか、とにかく聞き役に徹するほうがいい。
Mさん:聞かなきゃいけないんですか?
編集Y:すごくイヤそうですね。
川内:可能な範囲で。可能な範囲でです、それは。可能な範囲で聞いたほうがいいし、聞きたくなかったら聞かなくてもいい。そして、苦戦しているようなら包括の担当者に「妻から見て、夫は今、こういうことになっているようです」という“密告”は、したほうがいい。
Mさん:あっ、それはいいですね。
編集Y:一転して眼が輝きました。
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