孤立・孤独解消は企業を強くする――その手段として、運動会のような“昭和”な社内行事を再現する企業は最近、少しずつ増えている。

【今こそ「孤独解消」 孤立する社員を救う処方箋】記事ラインアップ
※内容は予告なく変更する場合があります
(1)リモートワークは理想的な働き方か 増幅する孤独
(2)すれ違う上司と部下 なぜ組織の中に孤独が生まれたか
(3)「国民8割に孤独感 みんな孤独予備軍」 小倉担当相の危機意識
(4)人付き合いある? 孤立してない? 「あなたの孤独度」を診断
(5)SOMPO、SCSK、NTTコム…社員の幸福度向上、経営の中心に
(6)昭和の社内行事・運動会が再評価 若手ベンチャーで結束感爆上がり(今回)
(7)脳トレ・川島隆太氏「脳が必要とするのは人との関わり」
(8)「無駄な時間は無駄ではない」産業医科大学・江口尚教授
(9)「社員の幸福度を上げる」人材重視に転換した銚子丸
(10)日本の孤独をなくすには「あなたのいばしょ」理事長大空幸星氏
(11)楽天、アステリアのウェルビーイング 「CWO」を置く理由
(12)「脱PDCAで幸福度をもう一度上げよう」慶応大学・前野隆司教授
(13)テクノロジーで幸福度を上げる ハピネスプラネット矢野社長
(動画)10月10日号特集「孤独が会社を蝕む」を担当編集委員が解説

 かつて日本企業が積極的に実施してきた運動会や社員旅行といった社内行事。バブル崩壊後は家族主義や集団主義を象徴する古臭い慣習として敬遠され、廃止する企業も相次いだ。

 そんな下火となった社内行事に再び注目が集まっている。コミュニケーションの希薄化を防ごうと積極的に取り組む企業が出始めているのだ。インスタグラムなどのSNS(交流サイト)を活用し、D2C(消費者直接取引)のアパレルブランドを複数展開するスタートアップ、yutori(東京・世田谷)もその1社だ。

 今年4月28日、社長や役員を含む50人ほどのスタッフがバスに乗り合わせて都内を出発。神奈川県南足柄市にある廃校のグラウンドで運動会を実施し、終了後は熱海の温泉旅館に1泊して宴会を開いた。

 アパレル系スタートアップと運動会という“異質”な取り合わせの背景に、会社の急成長がある。社員数がこの1年で倍増し、20代がほとんどだったところに、30代や40代も入ってくるようになった。そうなると、異なる世代との関係構築に戸惑う声が出てきた。

 yutoriは20ほどのアパレルブランドを同時展開している。新型コロナウイルス禍でコミュニケーションが希薄化したことにより、それぞれのブランドの成功や失敗経験が共有されにくくなった。月1回、ブランドのマネジャーらが会議を開いているが、それだけではとても足りない。

 そこで企画されたのが運動会と1泊旅行だ。「どうせやるなら『コテコテ』の行事にしようと思った。社内行事といえば運動会。社員旅行といえば熱海でしょう」。企画運営に参加した有志の一人、村中仁衣奈氏は言う。

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