昨年、英国に次ぎ世界で2番目に「孤独・孤立対策担当大臣」を置いた日本。2022年8月に就任した小倉将信担当大臣は「孤独や孤立というのは、一部ではなく国民全体の問題だ」と強調する。孤独や孤立に陥り得る「予備軍」も含め、国としてどう向き合うのか。問題意識や政策の方向性を聞いた。
【今こそ「孤独解消」 孤立する社員を救う処方箋】記事ラインアップ
※内容は予告なく変更する場合があります
(1)リモートワークは理想的な働き方か 増幅する孤独
(2)すれ違う上司と部下 なぜ組織の中に孤独が生まれたか
(3)「国民8割に孤独感 みんな孤独予備軍」 小倉担当相の危機意識(今回)
(4)人付き合いある? 孤立してない? 「あなたの孤独度」を診断
(5)SOMPO、SCSK、NTTコム…社員の幸福度向上、経営の中心に
(6)昭和の社内行事・運動会が再評価 若手ベンチャーで結束感爆上がり
(7)「脳トレ」川島隆太氏が警鐘、リモート社会の行き着くディストピア
(8)産業医が見る「孤立・孤独」時代の上司のあり方 江口尚氏
(9)労基署立ち入りから人材重視へ転換 すし銚子丸の「社員の幸福度」
(10)日本の孤独をなくすには「あなたのいばしょ」理事長大空幸星氏
(11)楽天、アステリアのウェルビーイング 「CWO」を置く理由
(12)「脱PDCAで幸福度をもう一度上げよう」慶応大学・前野隆司教授
(13)テクノロジーで幸福度を上げる ハピネスプラネット矢野社長
(動画)10月10日号特集「孤独が会社を蝕む」を担当編集委員が解説

2021年2月、政府は孤独・孤立対策担当大臣を設置しました。政府としてどのような問題意識があったのですか。
小倉将信孤独・孤立対策担当大臣(以下、小倉氏):1つのきっかけは、新型コロナウイルス禍で女性や若い方を中心に、自殺者がまた増え始めていることです。自ら命を絶つ方の数が増えている原因の1つに、孤独や孤立があるのではないか。そうした人々の命を救うためにも、政府が中心となって問題に取り組まなければならないといった背景があります。
コロナ禍で非正規労働の女性など、雇用環境が不安定な人の自殺が広がっているといいます。これらと孤独、孤立はどのように関わっているのでしょうか。
小倉氏:コロナ禍では職場に行かずにオンラインで仕事をする時間が増えたと思います。コロナ禍前から我が国の雇用環境は多様化していて、非正規の方が増えているという事情があります。
家族形態も変化しており、晩婚化や未婚化に伴って単身者や独身者、単身高齢者の方の数も増えています。加えて、地縁や血縁といったつながりも年々希薄化している。数字で明確に表れているわけではありませんが、職場や家庭、あるいは地域でも、孤独感や孤立感は非常に高まっているんじゃないかと思います。
そうした構造要因があるからこそ、そこを変えていけるように政府として腰を据えて取り組まないといけない。それが担当大臣設置の背景の1つでもあります。
その第一歩として昨年、孤独・孤立に関する全国的な実態調査を実施しました。率直に結果をどう受け止めていますか。
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