
前回に続き、深層学習が持つ“3つの力”の1つ目である「認識」について解説していきます。
自動運転の分野でも物体認識は非常に重要です。こういった分野で重要なのは、まずは認識精度です。認識精度が低くて人やクルマを見つけられなかったり、何もないところを人やクルマだと間違えてしまったりすると、クルマが衝突などの事故を起こしてしまう危険性があります。
こうした認識の精度は既存の手法ではなかなか上げることが難しかったのですが、深層学習を使うことによって、クルマが道を走るときの周りの環境の認識精度が大幅に向上しました。
自動運転ではさまざまな環境への対応も重要です。クルマの路面状況は雨が降っていたり雪が積もっていたりなどさまざまですし、照明条件も同じ晴れの日でも朝と夜だと光の当たり具合が違うなど、大きく変わるからです。運転しているときに突然日差しが目に入ってきた経験は、多くのドライバーの方がお持ちだと思います。既存の機械学習の手法では、そういった環境の違いに対応することができなかったのです。しかし、深層学習を使うことでさまざまな環境のデータを学習し、その高い汎化性能によって、未知なる環境に対しても高い精度で物体を認識することが可能になりました。
だからこそ今、自動運転の実用化が急速に進みつつあるわけです。完全な自動運転はまだ先の話ですが、運転をアシストしたり、人が一時的にハンドルから手を離したりといったことすらも既存の機械学習の手法では難しく、最新の深層学習の技術を活用してようやく実現できつつあるといったところです。
深層学習が現実世界のタスクを解くために非常に重要な意味を持つことが、少しでもご理解いただけましたでしょうか。
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