私は“姫”だ――。そう感じさせる都市型高級ホテルが、京都にある。フランス・パリの老舗食料品ブランド「フォション」の名を冠し、華やかな内装やスイーツが人気を博す「フォションホテル京都」だ。元は修学旅行生も泊まるお手ごろ料金のビジネスホテルだったが、ブランド力を生かした戦略で客室単価は10倍以上に一変。宿泊にとどまらない波及効果を生み出した高級食料品ブランドとのコラボとは、一体どのようなものなのか。記者が現地で体験し、その秘密に迫った。

百貨店のショーウインドーから若者向けのカフェまでが軒を連ねる繁華街。ここは阪急京都線の京都河原町駅(京都市下京区)前だ。そこから南へ、河原町通を歩いて10分弱。都会の喧噪(けんそう)から少し離れた、鴨川近くに座するのが、高級志向の都市型ホテル「フォションホテル京都」だ。
「フォション」の名前にピンとくる人も多いのではないだろうか。そう、1886年から130年以上続くフランス・パリ発の老舗食料品ブランドだ。紅茶やマカロンが有名で、日本では高島屋のデパ地下や高級スーパーの成城石井などでも一部商品の取り扱いがある。その風格で空間を統一したホテルが2021年、パリに次ぐ2号店として京都に開業した。
ホテル正面のガラス越しには、優美な曲線を描く大階段が見える。2階まで吹き抜けとなっており、手すりや壁面の桜の花びらの装飾は空に舞い上がるようで、京都の春を思わせる。
「……」。絢爛(けんらん)な内装に思わず見とれて黙ったまま、写真を撮ろうとスマホを掲げる客が後を絶たない。階段を上る足取りも、つい優雅になってしまう。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1794文字 / 全文2486文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「観光“再”立国:「数」から「質」へ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?