1890年、日本の迎賓館として誕生した帝国ホテル。新型コロナウイルス禍では苦境に立たされつつも、長期滞在目的の新たなサービス提供など将来を見据えた手も打ってきた。新型コロナ、そして2030年代に予定する建て替えを経て、帝国ホテルはどう変わるのか。定保英弥社長に考えを聞いた。

定保英弥(さだやす・ひでや)氏
定保英弥(さだやす・ひでや)氏
帝国ホテル社長 1961年生まれ。84年学習院大学経済学部卒業、帝国ホテル入社。営業部長やホテル事業統括部長などを経て、2009年第12代東京総支配人。13年に社長就任。(写真:竹井俊晴)

コロナ禍は3年目に突入しました。宿泊客の戻り具合など、足元の状況はいかがですか。

定保英弥・帝国ホテル社長(以下、定保氏):4~6月は比較的(客の)動きが出てきたような流れはありました。7月にかけて感染者数が一気に増えてからまた、ちょっとブレーキがかかってしまいました。我々のような都心の大規模なホテルは、まだまだ回復度合いが遅いと思います。お盆休みの期間は航空需要がある程度戻ったようですが、宿泊業はどうしても最後の方になってしまいます。

訪日外国人が戻らないのも痛手ですね。

定保氏:我々の場合は(新型コロナ前に)日本人客と訪日客の割合がちょうど5割ずつでした。4~6月は本館の客室稼働率が5割に近づいてきたのですが、残り5割の外国人が戻ってこないと、その分を埋めるのは大変難しいと思います。

 政府は水際対策を緩和していく考えだそうですが、早く進めていただきたい。そうでないと、都心部のホテル、客室を中心に運営しているホテルは(体力が)持たないですよ。我々が直面しているそうした課題感は、行政の方々に、本当の意味ではご理解いただけていないという気はします。

依然として苦しい経営環境を迫られると。

定保氏:雇用は一生懸命確保したい。しかし、やはり若い世代にはどうも不安感があるようで、我々の業界から離れていく人は少なくない。通常は120~130人くらい毎年採用しているのです。昨年や一昨年は20人前後でした。来年には本格的に採用を再開するつもりですが、なかなか思うように進まない。当社だけでなく、業界全体での担い手不足を非常に懸念しています。

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