中国共産党創設100年を祝う市民ら。高層ビル群はめざましい経済成長の象徴(写真=AFP/アフロ)
中国共産党創設100年を祝う市民ら。高層ビル群はめざましい経済成長の象徴(写真=AFP/アフロ)

 中国とどう向き合うのか。

 日本と中国は、隣国として2000年の交流の歴史を持っている。しかし、ここ100年ほどは共存のあり方を見つけるのに苦労し続け、ごく最近も改めて緊張感が高まっている。元中国・中信証券国際主席で、中国国内のM&Aなどを手掛けた徳地立人氏は先日、日本が中国との関係において追求すべきなのは「戦いを起こさせない」ことであり、「勝つ」ことではなく「負けない」ことであろう、と語っていた。

 本稿では、「戦いを起こさせない」ことを考える基礎となる、中国の国家の能力とインセンティブ、特に後者がどのような構造を持っているかをデッサンしてみたい。中国の文脈を理解するだけではなく、より一般的なメカニズムに翻訳し直して理解することを試みる。

中国とどう向き合うのか

 中国共産党は、国内では政治的に競合する勢力がまったく存在しない、絶対的な権力を構築している。しかしながら、市場経済は国家の思い通りには動かない。分権的な意思決定の積み重ねである市場経済は、国家が一方的に力やプロパガンダを押し付けても、思いがけない作用と反作用を生み出す。このため、中国共産党は改革開放によって「創造的破壊を抱きしめる」ことを試みてきた。一方で、市場経済がうまく機能するためには、十分に強い国家が必要である。そこに、政治と市場経済の間のジレンマが生じる。

 中国国内でいま進められようとしている「創造的破壊」は、イノベーションのフロンティアを押し広げようという視野の広さがある。現在のイノベーションを支える技術の発展は、コンピューティング能力の向上によるデジタル化がドライブになっている。中国は、自らのデジタル化を世界の最先端に押し出すため、一貫性のある政策ビジョンを打ち出してきている。

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この記事はシリーズ「中国は力をどう使うのか」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。