澤本さん、自分のことじゃないと、いきなり明快な人になりますね。

田中:自分のことはとことんネガティブなのに、人のことになると途端にポジティブ!

澤本:だって「最愛」の演出は塚原あゆ子さんでしょう。塚原さんがやっていたら、世間からの声も含めて、すべて狙いの中に入っていますよ。そもそも、そうじゃないと田中みな実を起用しないですよ。

自信がないから、神仏にすがります

田中:作品自体すごく評価されているので、そこに携われたことだけでも大変幸せなことだな、と感じています。そうやって持ち直していますが、澤本さんはどうやって気持ちを保っているんですか。

澤本:僕は自信がないから、神仏にすがるわけですよ。神社参拝が趣味ですので。

田中:神社参拝?

澤本:はい。TBSのそばにある日枝神社とか大好きな場所です。日枝神社にお参りして、自分の不安を打ち明ける。こんなことを言い出すと、また変な人みたいですけど……。

田中:もう、だいぶ変な人だとみなさん理解していると思います。

澤本:神社に行くと運気が上がるだろう、ということと同時に、自分の仕事にプライオリティーがつくんですよ。というのは、神社でお祈りをしているときって、後ろに次の人たちが並んで待っている。次の人に申し訳ないから、自分のお祈りの時間って、そんなに長く取れないじゃないですか。すると、まずどれから祈ろうかって、瞬時に判断するしかなくなる。

思考の最適化が起こるんですね。

澤本:A、B、C、Dと、かなえたいことがいろいろある中で、どこかで時間が打ち止めにされちゃうとなると、まずAを言っておかなきゃなと、ばっと頭が整理され、判断できる。今、自分の中で一番のプライオリティーはAだと認識できるんです。

田中:はあ……。まあ、ちょっとは分かるかもしれません。

澤本:自分の中で混沌としているものが、神社にお参りすると、浄化されて、同時に整理されるんです。

「澤本嘉光の開運、仕事術」というタイトルに変えましょうか。でも、11年前に、こちらの連載の第1弾となる「澤本嘉光の偉人×異人対談」を回していたときは、ここまで不安についておっしゃっていなかったと思うんですが。

澤本:そのころから不安でしたよ。とにかく僕は人に持ち上げられた瞬間に、ヤバいと思うし、実際そういう目にあってきたし(笑)。

特にメディアなんかは、上げてもうけて、次に落としてもうけるというところがありますから。

澤本:ですので、もう、とにかく地道に生きようと。

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