「男子との距離が近すぎ」とサークルでツメられる
前回、澤本さんの学生時代のつらかった体験を受けて、今回は田中さんがご自分のお話をしてくださることになりました。
田中:澤本さんの体験とはまた全然、性質の違う話なのですが、私が学生時代に入っていたテニサー(テニスサークル)での話をします。

そのサークルには、同学年の女子が10人ぐらいいて楽しくやっていたはずだったんです。が、あるとき、うちの学年の代の責任者、副責任者だった男子2人と女子全員が集まって、「ちょっと、みな実に話がしたい」と。呼び出された店の個室に入ると、全員から集中攻撃を受けるわけです。「みな実は男子との距離が近すぎる」「ボディタッチが多すぎる」「なんで飲み会のときに私の彼に色目を使うの」という話が、ずらずら出てきて。
澤本:自覚はあったんですか。
田中:ほぼ無自覚。「あざとい」とか「ぶりっこ」とか、あと「人の目を見すぎる」とも言われたなぁ。
でも私は逆に、人と話すときに、目を見ないってあるの? みたいな感じで。生まれた場所が父の赴任先だったニューヨークで、小学生のときはロンドンとサンフランシスコで過ごしたので、人と話すときは相手の目を見る、はっきりものを言う、好きなら好きと伝える、あなたのこういうところは素晴らしいと表現する、みたいな欧米的なコミュニケーションのマナーや人との距離感が、何の疑問もなく自分の中にあったわけですよ。だから、みんなから言われても、まったくぴんとこなくて。
澤本:うーむ。
田中:同じサークルには、すごく仲のいい親友がいて、彼女もまた似たようなコミュニケーションの取り方をする子だったから、「なんで私だけが非難されるの?」と聞くと、「みな実だから嫌なんだよね」と女子全員に言われて唖然(笑)。
その違いは?
田中:そう! 違いは何? って。その親友は他校に彼氏がいて、ムードメーカー的存在で場を盛り上げる天才。距離感は近いしボディタッチも多めだけど、女子が毛嫌いするようなものではなかったみたい。
分かっていても、当時の私としては納得できないわけです。しかも、彼女とはニコイチみたいに仲良しだったのに、その場でフォローしてくれなかったことにも傷付いて。帰りの小田急線で号泣する私を励ましてくれましたが、「じゃあ、なんであのとき助けてくれなかったのぉ」って、ずっと泣いてた(笑)。
澤本:うーむ。
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