「男子との距離が近すぎ」とサークルでツメられる

前回、澤本さんの学生時代のつらかった体験を受けて、今回は田中さんがご自分のお話をしてくださることになりました。

田中:澤本さんの体験とはまた全然、性質の違う話なのですが、私が学生時代に入っていたテニサー(テニスサークル)での話をします。

田中みな実(たなか・みなみ)
田中みな実(たなか・みなみ)
フリーアナウンサー、俳優。1986年、米ニューヨーク生まれ。2009年、青山学院大学文学部英米文学科卒業後、TBSテレビにアナウンサーとして入社。「サンデージャポン」などを担当。14年、TBSを退社してフリーアナウンサーに。16年から19年まで情報バラエティー「ひるキュン!」(TOKYO MX)のメインMC。19年、『田中みな実1st写真集Sincerely yours...』が、60万部超の大ヒット。20年にドラマ「M愛すべき人がいて」の姫野礼香役で衝撃的な演技が話題になる。21年に映画「ずっと独身でいるつもり?」で主演。ドラマ出演作に「ルパンの娘」「最愛」「吉祥寺ルーザーズ」など。現在、「あざとくて何が悪いの?」(テレビ朝日系列)のレギュラーMC、ラジオ「田中みな実あったかタイム」(TBSラジオ)のパーソナリティー。23年3月に、主演を務めるTVドラマ「悪女について」(NHK BS4K)が放映予定(写真:大槻純一、以下同)

 そのサークルには、同学年の女子が10人ぐらいいて楽しくやっていたはずだったんです。が、あるとき、うちの学年の代の責任者、副責任者だった男子2人と女子全員が集まって、「ちょっと、みな実に話がしたい」と。呼び出された店の個室に入ると、全員から集中攻撃を受けるわけです。「みな実は男子との距離が近すぎる」「ボディタッチが多すぎる」「なんで飲み会のときに私の彼に色目を使うの」という話が、ずらずら出てきて。

澤本:自覚はあったんですか。

田中:ほぼ無自覚。「あざとい」とか「ぶりっこ」とか、あと「人の目を見すぎる」とも言われたなぁ。

 でも私は逆に、人と話すときに、目を見ないってあるの? みたいな感じで。生まれた場所が父の赴任先だったニューヨークで、小学生のときはロンドンとサンフランシスコで過ごしたので、人と話すときは相手の目を見る、はっきりものを言う、好きなら好きと伝える、あなたのこういうところは素晴らしいと表現する、みたいな欧米的なコミュニケーションのマナーや人との距離感が、何の疑問もなく自分の中にあったわけですよ。だから、みんなから言われても、まったくぴんとこなくて。

澤本:うーむ。

田中:同じサークルには、すごく仲のいい親友がいて、彼女もまた似たようなコミュニケーションの取り方をする子だったから、「なんで私だけが非難されるの?」と聞くと、「みな実だから嫌なんだよね」と女子全員に言われて唖然(笑)。

その違いは?

田中:そう! 違いは何? って。その親友は他校に彼氏がいて、ムードメーカー的存在で場を盛り上げる天才。距離感は近いしボディタッチも多めだけど、女子が毛嫌いするようなものではなかったみたい。

 分かっていても、当時の私としては納得できないわけです。しかも、彼女とはニコイチみたいに仲良しだったのに、その場でフォローしてくれなかったことにも傷付いて。帰りの小田急線で号泣する私を励ましてくれましたが、「じゃあ、なんであのとき助けてくれなかったのぉ」って、ずっと泣いてた(笑)。

澤本:うーむ。

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