田中:酔っぱらって、私の頭をポコポコと木魚のようにたたき続けたことがありましたよね。

澤本:……はい、やりました。打ち上げのとき。今、それはいわゆるNG案件といわれるもので、ダメですね、そういうことは。

まだSNSが発達していない時代で、よかったですね。

田中:私は昔も今も、SNSはやっていないのですが、澤本さんは私が出ているドラマや映画などもよく調べてくれていて、時折、感想も送ってくださいますよね。ありがたいな、と。

澤本:いや、それだとライトなストーカーみたいに聞こえるじゃないですか。「日経ビジネス電子版」という中で、どこまでしゃべっていいのか、ちょっと気を遣っていますが、最初に会ったときにびっくりしたのは「さらし巻いてます」という発言だったんですよ。

さらし?

田中:あ、言っていました。私は胸が大きいのがコンプレックスで、週刊誌とかネットで、アナウンサーの胸チラとかが話題になったりするじゃないですか? そういう意味で有名になりたくはなかったんです。だから、澤本さんチームには、ごく普通にそのことをお伝えして、「胸にさらしを巻いて小さく見せているので、バストが目立たない衣装だとうれしい」とお願いしたんだと思います。

なるほど。

田中:そのころから、嫌なことは嫌だとハッキリ意思表示していた気がしますね。後から「嫌だった」とか言うと、みなさんにご迷惑がかかるから。

最短距離を狙う意識

澤本:僕が田中さんにピンと来た点が、そこなのかは分からないですけれども、ある目標があったら、その目標に向かって、きちんと最短距離を進もうとしているエネルギーは当初からありました。そうだ、目標でいうと、ちょっと話は違うかもしれないけど、エントリーシートの話も聞きました。かなり独創的なエントリーシートを書かれていたんですよね。

田中:局アナの試験を受けたときのエントリーシート! たしかTBSだったかな、左側が自分の履歴を書く欄で、右側が自己PR欄として、白紙を好きなように埋めてください、という方式で。

 白紙を文字で埋める人もいれば、写真を貼る人、筆で一文字書く人がいたりと、様々だったようですが、私は4分割にして、「ニューヨーク生まれ」「アメリカにいた頃太っていた」「6年間の器械体操部での経験」「モノマネが得意」など、自身を象徴する事柄にまつわるエピソードを挿絵と共に描きました。

それを澤本さんにお見せしたんですか。

田中:カラーコピーを取っておいたものを、こんな大クリエーター(澤本さん)に、「見てください!」って、恥ずかしげもなく!怖いもの知らずだったというか、無鉄砲というか。

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