アドバイスの際は前置きして、心の準備時間を設ける

 部下に仕事のアドバイスをしたいと思ったとき、どう切り出していますか? 単刀直入に切り出すと相手は心の準備ができず、アドバイスを注意や叱責と受け取ることもあるでしょう。

 「1つ気になったことがあるのだけど……」などと前置きをしてから話し出すと、部下はあなたの言葉に耳を傾ける準備ができます。ただし、大事なことが1つ。その前に、相手のできている点に触れてからこのフレーズを用いましょう。それが、アドバイスをより効果的なものにするのです。

 新入社員とお客様の名刺交換のやり取りで、気になる点があったとします。挨拶は丁寧にできていたなら、まず「きちんと挨拶をして、お客様の目を見ながら名刺の受け渡しができていましたね」と評価します。その上で「1つ気になったところがあるのだけど」と前置きをして、「いただいた名刺はすぐに名刺入れにしまわずに、着席してからテーブルの上に置く習慣を付けるといいですよ。お客様が複数のときには特に、お名前を確認できるから」などとアドバイスをするのです。

 できている点を評価した上で、1つ気になる点があると伝えれば、部下はより素直にアドバイスを受け入れ、改善しようと行動に移してくれるでしょう。

質問を繰り返すときは、まず自身で考えさせてみる

 行動は、無意識にできるようになると習慣化します。部下やメンバーが同じ業務をするときに、「ここが分からないんですけど」「ここはどうしたらいいですか?」などと繰り返し質問をしてくるのであれば、それは理解や技術が無意識にできるレベルに到達していないと言えるでしょう。

 同じ質問をされるたびに説明をしたり、逆に「もう何度も説明したよね?」と言って突き放したりすると、部下やメンバーの成長は望めなくなります。特に、質問をシャットアウトしてしまうと、萎縮して自発的に行動できなくなってしまいます。

 部下から以前と同じような質問をされたら、「どうしたらいいと思う?」と聞き返して、まずは自身で考えてみるよう促すといいでしょう。質問を繰り返すのは、分かっているけれど不安があるからという場合も多いもの。自分で考え、それが正しいと分かれば、自信を持って行動できるようになります。

 ですから、「どうしたらいいと思う?」と聞き返した上で、その答えが正しければ「そう、その通り、やってみて」と行動を後押ししてあげてください。間違っていた場合も、ただ説明をし直すのではなく、「どうしてそう考えたの?」と聞いてみると、理解できていない点が分かり、改善につなげることができます。

 今回は、部下やメンバーに「意欲や達成感を高めてもらう」ための10の技術のうち、前半の5つの項目をお伝えしました。上司の言葉がけや接し方次第で、部下の仕事に対するモチベーションは変わってきます。意欲の向上には特に、「スモールゴール」の考え方や、部下のできている行動に目を向けて評価する習慣を大切にしていただきたいと思います。次回は後半の5つの項目を解説していきます。

(構成:田村知子)

日経ビジネス課長塾オンデマンドより

本連載の著者である冨山真由氏は、課長塾および課長塾オンデマンドの講師として活躍中です。課長塾オンデマンドでは、次世代リーダーが身に付けるべきスキルとして「めんどくさがる相手を動かす技術」を解説しています。

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