部下やメンバーに仕事を頼んだとき、こんなふうにイライラしたことはありませんか? その原因は、あなたが出したあいまいな指示や依頼が原因で、相手との間に発生した解釈のすれ違いにあります。

 「なるべく早く」という表現を見てみましょう。依頼したあなたは「その日のうちに提出してくれるだろう」と思っていたかもしれませんが、依頼された側は「なるべく早くなら、数日のうちに提出すればいいのかな」と受け取ったかもしれませんよね。「適宜」という表現もそう。あなたは「適宜と言ったら、2~3日に1回は報告するのが当たり前」という前提で話したとしても、相手は「適宜なら、何か大きな動きがあったときに報告すればいいだろう」と考えたかもしれません。

 こうした解釈のすれ違いは、お互いの意識や価値観の違いから生じやすいもの。コミニュケーションの齟齬(そご)を避けるためには、依頼する側のリーダーが、締め切りの期限を具体的に決めて伝えることが大切です。

 「今日の夕方5時までに提出してください」

 「少なくとも3日に1回は進捗報告をお願いします」

 といった具合に、「なるべく」「適宜」といったあいまいな表現は使わずに、数値化して伝える習慣を付けていきましょう。依頼された側も期限が明確になっている方がそこに向けて動きやすくなり、お互いにとってメリットとなるはずです。

目標は数字で「見える化」して伝え合う

 仕事の締め切りの期限と同様に目標設定も、できる限り具体的に数値化して共有することで意思疎通がしやすくなり、達成度も高まります。「いつまでに、何をすればいいか」が明確になっていないと、結果もあいまいなものになりがちです。

 新製品の説明会を1カ月後に開催することになったとします。このとき、部下に「できるだけ多くのお客様に参加していただけるように、手分けして連絡をしてください」と言ったとしたらどうでしょう。

 「できるだけ」という表現も、人によって解釈が違ってきます。部下のAさんは1社でも多くの顧客を集めようと、その日から1日に10社、20社と電話をかけたりメールを送ったりするかもしれません。Bさんは多くの顧客に声をかけようと思ったものの、「開催までにはまだ時間があるから、手が空く日にまとめて連絡をしよう」と考えているうちに、何もしないまま1週間、2週間とたってしまう…といったことが起こり得ます。

 こうした事態を避けるには、「1日に1時間は時間をとって、20社に電話をしてください」などと、やるべきことや目標を数字で伝え、進捗状況も具体的な数字で報告してもらうようにすることが大切です。

 「今日は20社に連絡できた?」

 「20社に連絡はできたのですが、担当者と話せたのは半数の10社でした」

 「連絡できたのは9割の18社で、そのうちの8社からは参加の返答がもらえました」

 このように、目標や進捗状況はお互いに数字で伝え合うようにすると、さらにやるべきことが明確になったり、対策を講じたりできることで、成果にもつながりやすくなります。

確実に理解できるように、依頼内容を細分化する

 相手にとって初めての業務や苦手な業務を依頼するときには、最初から最後まで一気に説明すると、相手はすべて理解できずに戸惑ってしまうこともあるでしょう。そんなときは、すべきことを段階的に細分化して伝えていくようにすると、相手も安心して業務を進めていくことができます。

 私自身が経験した例では、新型コロナウイルス禍になってからオンライン上で面談やミーティングをすることが多くなったのですが、当初はその設定の仕方がよく分かりませんでした。詳しい人に一通りの説明を聞いても、オンライン上の会議システムに不慣れですぐに理解できなかったのです。

 こういう場合も(1)まずオンライン会議システムを立ち上げる、(2)スケジュールを設定する、(3)会議ツールのミーティングIDやURLを発行する――というふうに、行動を分解して伝えるようにすれば、「この後はどうだったっけ?」などと迷ったり、何度も確認し直したりといった中断や手戻りが防げます。

 行動分解して伝えることは面倒に感じることもあるかもしれませんが、相手がきちんと理解して業務を行うことができれば、結果的には効率的に仕事を進めていけるはずです。

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