部下に指示を理解し、動いてもらう。多くの中間管理職が悩むこの問題には実は、「誰がやってもうまくいく」方法論がある。「行動科学マネジメント」に基づいた部下指導メソッド。2回目は上司と部下が「互いに親しみやすい関係性」をつくるためのポイントをお伝えする。

こんにちは、冨山真由です。この連載では、「行動科学マネジメント」に基づく「部下に動いてもらう技術」をお伝えしています。行動科学マネジメントは米国のビジネスや教育の現場などで大きな成果を上げている、行動心理学や行動分析学を基礎としたマネジメント手法を日本人向けに最適化したものです。「誰がやってもうまくいく」再現性の高いこのメソッドを、皆さんの日ごろのマネジメントに役立てていただければうれしく思います。
この連載は「部下に動いてもらう技術」を、3つのステップで身につけてもらえるよう構成しています。最初のステップ(第1、第2回)は、部下やメンバーとの間で「お互いに親近感を抱ける、ちょうど良い距離感」を築くポイントについて。次のステップ(第3、第4回)は、仕事の指示や頼み事をする際に「理解と納得感を深めてもらう」ためのコツについて。そして、3ステップ目(第5、第6回)は、部下やメンバーに「意欲や達成感を高めてもらう」ための技術について解説します。
2回目となる今回は前回(『あなたは部下の話を「60秒」聞き続けることができますか?』)に引き続き、部下やメンバーと心地良い人間関係を築くためのポイントをお話ししていきます。
前回は10のポイントのうち前半5つを紹介しました。解説したポイント(1)~(5)の実践で「話しかけやすい関係性」がつくれましたか? それでは今回は後半の5つ、ポイント(6)~(10)の行動でさらに緊張をほぐして「親しみやすい関係性」をつくっていきましょう。
ポイント(1):あいさつは、先手必勝が基本
ポイント(2):まず1分間、相手の話をうなずいて聞いてみる
ポイント(3):相手が話しているペースに、自分の呼吸と間を合わせる
ポイント(4):時間と場所、対象者を定めて、「話しかけのルール」を作る
ポイント(5):ちょっとした仕事の話なら、対面よりも立ち話で
ポイント(6):自分の成功談ではなく、失敗談や反省点を語る
ポイント(7):何かひとつ、簡単なお困り事を手伝ってもらう
ポイント(8):相手が行動してくれたら、すぐに「ありがとう」を伝える
ポイント(9):相手が「はい」と即答したら、話した内容を繰り返してもらう
ポイント(10):1日に誰に何回話しかけたかを「正」の字でチェックしてみる
失敗談や反省点を語ることで、共感や理解を得られる

リーダーが自身の失敗談や反省点を語ることは、部下やメンバーの不安や心配を軽減して、お互いの距離感を縮めるのに有効です。逆に成功談を「武勇伝」のように語ってしまうと、相手は自慢話と受け取って反感を抱くこともあります。
失敗談や反省点を語るときは、失敗をどのように乗り越えたかを具体的に伝えることも大切です。「自分が失敗したときは、先輩にこんなサポートをしてもらった」といった解決策まで伝えることで、部下やメンバーは「上司も自分と同じような失敗をしたことがあるんだな」と共感し、「上司の解決策を参考に、こうしてみたらいいかもしれない」などと、教訓や解決策を自分なりに生かせるようになるはずです。
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