部下に指示を理解し、動いてもらうことは実は、難しいことではない。この連載では行動心理学や行動分析学をベースにした「行動科学マネジメント」に基づいた、部下に動いてもらうためのコミュニケーション術を解説していく。初回は「話しやすい関係性」をつくるためのコツをお伝えする。

はじめまして、冨山真由です。皆さんは日ごろ、部下や後輩と接する中で、こんなことを感じていませんか?
「若手社員の考えていることがよく分からない」
「自分の言いたいことが、部下にうまく伝わらない」
「良かれと思って注意したら、部下が予想外に意気消沈してしまった」
「後輩の発言や行動が生意気に感じられて、ついイライラしてしまう」
そんなとき、皆さんは「自分の性格に問題があるのではないか」と悩んだり、相手に対して「どうすれば変わってくれるだろうか」と考えたりしているかもしれません。しかし、自分の性格を変えようとしても、相手に態度を改めてもらおうとしても、ストレスは増すばかりです。こうしたコミュニケーションのすれ違いを解決するのは、難しいことなのでしょうか――。
そんなことはありません。それどころか、コツさえつかめば、実はとても簡単です。
私は日ごろ、行動心理学や行動分析学をベースにした「行動科学マネジメント」のコンサルタントとして活動しています。米国のビジネスや教育の現場で成果を上げている行動科学マネジメントは、行動心理学や行動分析学で実証済みの理論をベースにした手法で、「誰がやってもうまくいく」再現性の高い方法論です。
この連載では行動科学マネジメントに基づいた、「部下に動いてもらう技術」を3ステップで解説します。
最初のステップ(第1、第2回)では、部下やメンバーとの間で「お互いに親近感を抱ける、ちょうど良い距離感」を築くポイントを解説します。次のステップ(第3、第4回)では、仕事の指示や頼み事をする際に「理解と納得感を深めてもらう」ためのコツを解説します。そして最後、3ステップ目(第5、第6回)は、部下やメンバーに「意欲や達成感を高めてもらう」ための技術について解説します。
どれも具体的かつシンプルな手法で、その日から実践できます。ぜひ、今日からの業務に取り入れてみてください。では、さっそく始めましょう。
心地良い人間関係の土台となるのは「親近感」
部下やメンバーと良好な関係を築くためには、自分から相手に親近感を示し、相手からも親近感を抱いてもらうことが重要です。この「お互いに親近感を抱ける、ちょうど良い距離感」が、心地良い人間関係の土台となります。
そんな親近感のある心地良い関係を築くために実践したいのが、次の10のポイントです。今回は10のうち前半5つについて、具体的なコミュニケーションのコツを解説しましょう。
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