イーロン・マスク氏の熱狂的な「信仰者」が米国内で増殖している。マスク氏とソーシャルメディアで直接ふれあい人生が変わった人も。なぜマスク氏やその企業は、このような社会現象を生む存在になったのか。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
ツイッター買収問題、マスクの訴訟戦略を立案した「知恵袋」
理想にばく進するマスク氏 裏で支える「7人のサムライ」
元テスラCTOストローベル氏が語る「マスクとの関係」
マスクが優秀人材を魅了する理由 元テスラ電池調達担当ケルティー氏
・米国で急増する「マスク信者」 熱狂×ユーチューブで拡散加速(今回)
・異端のリーダーはこう生まれた 周囲を翻弄する「天使」と「悪魔」の人生
・広がるマスク流リーダーシップ 21世紀のハワード・ヒューズか

 「君はガリを知っているのかい?スゴいな!」

 2022年4月7日に米テスラが開いた米テキサス州オースティンの巨大EV工場「ギガテキサス」の開所式。既存メディアの取材は受けない方針の同社から工場に入る許可が下りず外で取材していると、集まったテスラやイーロン・マスク氏のファンからこう羨望の目を向けられた。

米テキサス州(上、左下)と独ベルリン近郊(右下)の新工場でテスラが開いた開所式には、各地からファンが押し寄せた。招待客のみだったため中に入れずその場でチケットを求める人も(上)(写真=上・左下:AFP/アフロ、右下:ロイター/アフロ)
米テキサス州(上、左下)と独ベルリン近郊(右下)の新工場でテスラが開いた開所式には、各地からファンが押し寄せた。招待客のみだったため中に入れずその場でチケットを求める人も(上)(写真=上・左下:AFP/アフロ、右下:ロイター/アフロ)
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 ガリとは、テスラの企業分析に定評があるユーチューバー、ガリレオ・ラッセルさんのこと。運営チャンネルの登録者は16万2000人超で、米ニューヨーク大学卒の29歳だ。

 開所式にマスク氏が登場すると聞き、チケットもないのに集まったファンは入れ替わりも考慮するとざっと数千人。居住地もワシントンやコロラドなどさまざまで、テスラ車はもちろん飛行機で駆けつける人までいた。こうしてマスク氏に熱狂するファンのことを、同氏の周囲は「イーロンのファンボーイ」と呼ぶ。

(写真=本人提供)
(写真=本人提供)

 ラッセルさんはそんなファンボーイのカリスマ的存在だ。発端は18年5月にテスラが開いたカンファレンスコール。既存概念にとらわれた機関投資家の質問にいら立ちを隠せなくなっていたマスク氏の目を、パッと開かせたのが彼だった。

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