ホンダは韓国LG化学の子会社である車載電池大手、LGエナジーソリューション(LGES)と合弁会社を設立し、北米に電気自動車(EV)向けの電池工場を新設すると発表した。2025年からの量産開始を目指す。これまで電池への投資を最低限にとどめつつ、世界各地のEV普及動向を注視してきたホンダ。同社として初となる自社専用の電池工場建設に約44億ドル(約6100億円)を投じ、北米で一気にバッテリー調達網を整備する。
■連載ラインアップ
(1)ホンダの決断 ソニーとEV連合、激動の時代へ変革急ぐ
(2)ホンダ三部社長、ソニーとのEV新会社「テスラと十分に戦える」
(3)孤高では生き抜けないEV大競争 ホンダが選んだ「現実主義」
(4)もがくホンダ技術陣、EV開発でぶつかった「思い込み」「経験」の壁
(5)電動二輪車でも反撃へ 王者ホンダ、牙城死守へ新たな「生態系」
(6)「F1より難しい」 ホンダが「空飛ぶクルマ」で目指す真の革新者
(7)ホンダ、盟友GMがつないだLGとの縁 北米でEV電池を合弁生産
(8)稼げなくなったホンダの四輪車 拡大戦略のツケを払った八郷改革
(9)宗一郎がホンダに残した道しるべ 車ではなく、未来をつくる

2040年に新車販売のすべてをEVか燃料電池車(FCV)にする目標を掲げているホンダ。30年には全世界でのEV生産台数200万台を目指し、グローバルで30種類のEVを投入するロードマップも示している。
こうした電動化目標を実現するための最大の鍵となるのが電池の確保だ。北米市場では米ゼネラル・モーターズ(GM)が開発する次世代電池「アルティウム」の調達を明らかにしていた一方、電池生産の合弁会社設立の検討も進めていた。LGESと米国に工場を構えることで、安定的な調達体制を整える。
「ホンダは各地域でバッテリーの現地調達や生産を進めています。世界有数のバッテリーサプライヤーであるLGESとの米国における今回の合弁事業は、こうしたホンダの取り組みを示すものです」。ホンダの三部敏宏社長は29日付プレスリリースでこうコメントした。
新工場の生産能力(電池の容量ベース)は最大約40ギガ(ギガは10億)ワット時で、一般的なEVのおよそ50万~60万台分に相当する。生産する電池はすべてホンダの北米工場へ供給する予定だ。25年中の量産開始を目指していることから、26年以降に北米市場へ投入されるホンダのEV新型車で電池が搭載される可能性が高い。
ホンダが開発を主導する新EVプラットホーム(車台)「e:アーキテクチャー」を採用した新型モデルの発売を26年に計画しており、この電池の調達にめどが立ったと言えそうだ。
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