ソニーグループと提携し、電気自動車(EV)を開発・販売する新会社を共同出資で立ち上げるホンダ。「EV新会社はホンダ自身のライバルになっても構わない」――。ホンダの三部敏宏社長は言い切る。異例のタッグで目指すのは、ホンダやソニーという母体に縛られない、独立したEVスタートアップの創造だ。自動車業界を揺さぶる大きなうねりを生き抜くため、ホンダは変化を求めて動き始めた。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
・ホンダの決断 ソニーとEV連合、激動の時代へ変革急ぐ(今回)
・ホンダ三部社長インタビュー、EV新会社「テスラと十分戦える」
・鍵となる電池とソフト ホンダが孤高では生き抜けない電動化
・ホンダ、EVは「経験値」がネック 変貌する自動車開発
・「拡大戦略のツケを払った」6年間 ホンダ大改革の現在地
・転換迫られる稼ぎ頭 電動二輪でもホンダは勝てるのか
・「F1より難しい」 ホンダが挑戦する「空飛ぶクルマ」
・工場の片隅で10年、あるホンダ女性技術者がつないだ新事業の芽
・ホンダの活路 「自動車」をやめる日

 2021年12月、ホンダの三部敏宏社長に1本の電話がかかってきた。相手はソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長だった。年明けに米ラスベガスで開かれるテクノロジー見本市「CES」への出席を控えていた吉田氏。出発直前の電話には、単なる年の瀬のあいさつにとどまらない、互いの信頼関係の確認という意味があった。

 この時点で既に2人には胸に秘めた共通の青写真があった。「ホンダとソニーでEV市場に打って出る」――。

2022年3月、モビリティー分野での提携を発表したソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長(左)とホンダの三部敏宏社長(写真:ロイター/アフロ)
2022年3月、モビリティー分野での提携を発表したソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長(左)とホンダの三部敏宏社長(写真:ロイター/アフロ)

 それから2カ月余りたった今年3月初め、ホンダとソニーはEV事業での提携を発表し、世間をあっと言わせた。共同開発するEVを25年をめどに発売し、自動車向けサービスを事業化する。6月には年内に事業主体となる新会社を折半出資で設立すると表明。「ソニー・ホンダモビリティ」という社名も決めた。

一番インパクトがあるのはソニー

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