シリーズ第1弾となった『アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る』(日経BP、2019年)の出版から3年がたった。発刊当初、世界は今のような新型コロナウイルス禍にはなかった。当時、日本では一部でDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれてはいたものの、どこか自分ごとではない企業が多かったように思う。
現在、数多くの日本企業がDXへの取り組みを急いでいる。隔世の感がある一方で、その取り組みのスピードは海外企業に比べて劣っているというのが筆者の率直な感想だ。背景に潜んでいるのは、「UX(ユーザー体験)」に対する経営者の理解不足と見ている。
DXの潮流が加速する中で、UXの重要度はますます高まっている。ここに、各企業が経営の意志として実際にどの程度UXに注力しているのかを独自にリサーチした結果がある。
下表は、インターブランドジャパンによる「Best Japan Brands 2022 Rankings」の上位企業について、次の観点でUXへの注力レベルをチェックした結果となる。
- ・プレスリリースでのUX/CX/体験価値への言及の有無
- ・役員以上のUX/CX/体験価値に関するメッセージの有無
- ・中期経営計画またはDX戦略におけるUX/CX/体験価値への言及の有無
- ・UX/CXの向上を目的とした組織、または顧客体験の品質に責任を持つCクラス役員の有無
下表を見ると、上位企業では多くの項目で経営者によるUX重視の姿勢やアクション、または組織への浸透が見られるのに対し、20位前後を境に、明らかにこれらの活動が少なくなっていることが見て取れる。UX注力の姿勢を明確に打ち出している企業ほど、ブランドランキングでも高い評価を受けている相関性が分かるだろう。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り5162文字 / 全文5969文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「アフターデジタル著者が語る「行動の時代」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?