深刻な日本の「強制労働」と「男女格差」

 「強制労働」は日本国外だけの話ではない。

 米国務省が毎年公表する「人身取引報告書」では、各国政府による人身売買防止措置を評価している。その中で日本は、未成年の女子高生と成人との出会いをあっせんする「JKビジネス」に代表される性的搾取や外国人技能実習制度の下での強制労働が問題視されている。特に、今や40万人を超える外国人技能実習生については、不当に低い賃金の支払いや悪質な労働環境、借金を背負った状態で働く債務労働などに対して、政府当局の取り締まりや予防措置が不十分だとし、「技能実習制度」を悪用する企業を強く非難している。

 さらに、世界経済フォーラム(WEF)が2006年から毎年発表している各国の男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数」においても、2021年の日本の順位は156カ国中の120位と、世界全体で下から数えたほうが早い。120位の日本の前後は119位のアンゴラと121位のシエラレオネ。21世紀まで内戦が続き、少年兵・少女兵という「最悪の形態の児童労働」の傷痕が残る国と、日本のジェンダー評価は同水準だ。

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 評価分野別に見ると、「政治的な意思決定への参画」で日本は147位となっており、閣僚や国会議員の女性割合が低いことが低スコアにつながっている。また、「経済的機会」の格差も大きく、特に「管理職ポジションに就いている数の男女差」は139位で、これも日本の順位を押し下げる要因になっている。

(写真:Shutterstock)
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(第2回に続く)

日経BOOKプラス 2022年8月4日付の記事を転載]

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