中国上海市で11月5日から「中国国際輸入博覧会」が開幕し、習近平国家主席は「対外開放」政策の堅持をアピールした。米中のデカップリング(分断)が進む中でも、企業の中国市場の開拓意欲は依然として高い。だが「ゼロコロナ政策」による行動制限もあり、足元の統計では輸入額は減少している。実際に輸入拡大につながるかは不透明だ。

 「中国の大市場におけるチャンスを各国が共有するよう促進していく。強大な国内市場の構築を加速し、物品貿易の最適化と高度化を後押して、サービス貿易の発展メカニズムを革新し、質の優れた産品の輸入を拡大していく」

 中国上海市で11月5日に開幕した、国際見本市「中国国際輸入博覧会」。開幕前日となる4日夜に実施された式典にビデオメッセージを寄せた習近平国家主席は、経済成長に向けて「対外開放」政策を堅持していくことを強調した。

中国国際輸入博覧会の開幕前日、習近平国家主席はビデオメッセージで対外開放の堅持を強調した(写真=共同通信)
中国国際輸入博覧会の開幕前日、習近平国家主席はビデオメッセージで対外開放の堅持を強調した(写真=共同通信)

 輸入博は、中国が日本や欧米などの海外企業による輸入拡大を目指す見本市。習氏の肝煎りで2018年から開催されており、今年が5回目となる。主催団体によると今回の輸入博では、127の国や地域の企業が出展。日本からも約300社が参加している。

 開幕前日に習氏が対外開放堅持をアピールしたのは、経済政策への不信感を払しょくするためだろう。10月下旬に開催された中国共産党大会で、習氏は異例となる3期目の国家主席就任が決まった。新たに発足する最高指導部は、改革開放派である李克強首相らが一掃され、習氏の側近で固められた。経済よりも政治を優先する懸念が高まっている。「習近平一強」が加速する中、米中対立が緩和される見通しも立っていない。

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