中国ネット検索大手の百度(バイドゥ)は8月、完全無人運転タクシーの営業を開始した。完全に無人となるのは中国初。次なる事業の柱に掲げる、百度の自動運転技術の実力はいかに。
中国中部に位置する湖北省武漢市。この都市の郊外では、8月から運転席はおろか助手席にすら人が乗っていないクルマが走っている。

中国ネット検索大手の百度(バイドゥ)が営業を開始した、完全無人運転のタクシーだ。武漢市と重慶市で8月8日、それぞれ商用サービスを開始した。これまでは安全のために運転席などに監視員を配置してきたが、完全に無人となるのは中国で初めて。武漢市では13平方キロメートル、重慶市では30平方キロメートルの範囲で朝から夕方までそれぞれ5台の自動運転タクシーを運行。初乗りは16元(約320円)で、加算金は1キロメートル当たり2.8元となる。現在は試験運行中として、9割引きの価格で提供している。
自動運転システムには百度が手掛ける「Apollo(アポロ)」を活用。百度は2013年から自動運転技術の開発を進めており、これまでの試験走行距離は3200万キロメートルに達する。21年11月には北京市内で監視員を乗せた自動運転タクシーの有料サービスを開始し、主要都市にも広げてきた。
段階を踏みながらサービスを開発してきた百度の自動運転技術の実力はどうなのか。現地に降り立ち、実際にサービスを試してみた。
呼び出しから3分で完全無人タクシーが到着
今回、武漢で始まった完全無人運転タクシーは、スマートフォンの専用アプリを使ってクルマを呼び出すライドシェアサービスだ。もっとも現時点では、地下鉄の駅やバス停などあらかじめ定められた複数の地点間を移動できるサービスにとどまる。実際、アプリを使ってある地点から別の地点を選んで呼び出すと、3分ほどで無人運転のタクシーが到着した。呼び出し時間としては、通常のライドシェアサービスと変わらないと言えそうだ。
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