ホンダが「無印良品」を展開する良品計画と、中国で電動自転車を発売した。上海など大都市を中心に、年間5000台の販売を目指す。日本では珍しい異色のタッグはどのように生まれたのか。

 中国・上海市で人気のショッピング街「淮海路」に店舗を構える雑貨店「無印良品」。良品計画が出店する上海での旗艦店に一歩足を踏み入れると、日本の店舗にはない“ある商品”が目の前に現れる。

ホンダと良品計画が、中国で共同企画した電動自転車「素-MS01」。写真は上海市内にある無印良品の店舗での展示
ホンダと良品計画が、中国で共同企画した電動自転車「素-MS01」。写真は上海市内にある無印良品の店舗での展示

 「素-MS01」。ホンダと良品計画が、中国で共同企画した電動自転車だ。400ワットのモーターと48Vのリチウムイオン電池を搭載し、1度の充電で65キロメートルを走行できる。白と黒の2色展開で、17インチの大型ホイールを搭載するなどデザイン性も高い。「MUJI」のロゴはなく、後輪部分にホンダの中国での二輪車合弁会社「新大洲ホンダ」のロゴがひっそりと刻まれているだけだ。

 良品計画がデザインを担当し、新大洲ホンダが本体の開発、製造、販売を手掛ける。上海など大都市にある無印良品の大型店舗では、MS01の商品展示を実施している。商品の横に置かれたQRコードをスマートフォンで読み込むと、専用サイトが立ち上がり、新大洲ホンダの店舗での試乗予約や実際の購入ができる仕組みだ。

「素-MS01」の後輪部分には「新大洲ホンダ」のロゴがひっそりと刻まれている
「素-MS01」の後輪部分には「新大洲ホンダ」のロゴがひっそりと刻まれている

 7月中旬に発売し、価格は価格は4980元(約10万円)。年間の販売目標は5000台だが、「7月の発表からSNS(交流サイト)を中心に反響が大きく、販売は計画通りに進んでいる」と、新大洲ホンダの川原哲哉総経理は話す。

年間5000万台の巨大市場

 ホンダと無印良品――。国内では異色といえるコラボレーションが始まったのは、2021年初頭のこと。中国の現地幹部同士の会合で、「何か面白いことをしたいよねと意気投合したのがきっかけだった」と川原氏は明かす。「当初から電動自転車を共同開発しようという流れだった」(川原氏)ものの、新大洲ホンダにとって電動自転車はなじみの薄い商品だったという。

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