唐突な「帰還」に、中国の経済界は騒然となった。

 中国ネット通販大手アリババ集団の創業者である馬雲(ジャック・マー)氏のことだ。3月27日、浙江省杭州市にある私立学校が、SNS(交流サイト)で馬氏が訪問したことを投稿。校長と教育の未来について議論したのだという。世界的にブームになっている対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」について、「AI時代の始まりにすぎない」と話したという。

中国ネット通販大手アリババ集団の創業者である馬雲氏は、1年以上ぶりに中国へ帰国した(写真=ロイター)
中国ネット通販大手アリババ集団の創業者である馬雲氏は、1年以上ぶりに中国へ帰国した(写真=ロイター)

 2019年にアリババの会長を退任した馬氏。20年には「良いイノベーションは(当局の)監督を恐れない」と、中国政府に批判的と取られる発言を口にした。この発言をきっかけに、アリババなど中国IT(情報技術)業界は当局からの厳しい締め付けにさらされ、馬氏自身も公の場に姿を見せなくなっていた。

 馬氏は、日本や欧州、東南アジアなど海外を訪れる様子がたびたび報じられており、中国に帰国するのは1年以上ぶりとなる。当局の監視下に置かれるリスクがある中で、なぜ帰国に踏み切れたのか。

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この記事はシリーズ「佐伯真也が見る中国経済のリアル」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。