堅持してきた「ゼロコロナ政策」をいきなり大転換するなど、中国ビジネスには予見不可能なリスクが付きまとう。切っても切り離せない「世界の工場」「世界の市場」とどう向き合うべきか。日本企業の成功の条件を探る。
■この連載ここまで
(1)中国EVの実力、特許分析で鮮明 電池制御や交換など軸にコロナ禍でも出願倍増
(2)窮地のファーウェイ、車載で反攻 中国EVの躍進支える産学官連携
(3)「驚きの投資増」米規制で打撃の中国が見つけたパワー半導体という活路
(4)「禁じ手」も辞さぬ中国の執念 山東省に複合機の一大集積地が出現
(5)ついに中国勢が工作機械で日本に「逆上陸」、超精密加工を武器に
(6)時価総額2.9兆円、中国の新興医療機器メーカー 急成長の2つの理由
(7)CATL・BYDだけじゃない 電池主要4部材で中国企業シェア7~8割の衝撃
(8)中国BOEが有機EL技術でサムスン猛追、供給過剰懸念よそに続く拡大
新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年初頭以降、習近平政権はウイルスの完全封じ込めを狙う「ゼロコロナ政策」を堅持してきた。

だが、22年12月、その方針を突如180度転換。定期的なPCR検査は必要なくなり、ウィズコロナへとかじを切った。感染爆発で病院は患者であふれ返っているが、国営メディアはコロナの弱毒化をアピールする。
日本や欧米諸国では考えられないダイナミックな政策転換。これこそが中国という一党独裁の強権主義のすさまじさだ。ビジネスの世界でも同様で、「鶴の一声」で壊滅的な影響を受けることもある。
例えば学習塾産業。中国当局は21年7月、語学や数学などの学習塾について、新規の開業許可を凍結し既存の塾には「非営利団体」への転換を義務付けた。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)などIT産業への締め付けも記憶に新しい。
技術漏洩の恐れも残る。実際、複合機分野では中国での開発・製造に加えて、中国企業との合弁まで迫っている。だが、中国と日本は地理的にも経済的にも一衣帯水の関係だ。過度に恐れるあまり巨大な隣国との関係を切り捨てることは、多くの企業にとって合理的判断とは言えない。
漏洩前提に製法を随時変更
ならば、いかにして「チャイナリスク」を抑えながら、中国と付き合っていくべきか。先駆者たちが進めてきた3つの対応が参考になるだろう。
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