中国の医療機器メーカー、上海聯影医療科技(ユナイテッド・イメージング・ヘルスケア)が市場での存在感を高めている。2022年8月に上場を果たし、足元の時価総額は2.9兆円を超える。11年創業の新興企業は、いかにして短期間で急成長を遂げたのか。
■この連載ここまで
(1)中国EVの実力、特許分析で鮮明 電池制御や交換など軸にコロナ禍でも出願倍増
(2)窮地のファーウェイ、車載で反攻 中国EVの躍進支える産学官連携
(3)「驚きの投資増」米規制で打撃の中国が見つけたパワー半導体という活路
(4)「禁じ手」も辞さぬ中国の執念 山東省に複合機の一大集積地が出現
(5)ついに中国勢が工作機械で日本に「逆上陸」、超精密加工を武器に

「11年間、力を蓄え今日まで来た。上場は世界的企業として前進するための新しい出発点だ」。22年8月22日、上海証券取引所のハイテク新興企業向け市場「科創板」に上場した中国の医療機器メーカー、上海聯影医療科技(ユナイテッド・イメージング・ヘルスケア)。董事長兼CEO(最高経営責任者)を務める張強氏は、上場セレモニーでこう意気込んだ。
ユナイテッド・イメージングは、中国で最も注目される医療機器メーカーだ。上場時の資金調達額は110億元(約2200億円)。22年における中国本土のIPO(新規株式公開)の資金調達ランキングでは、米上場を廃止して上海に再上場した国有通信最大手の中国移動(チャイナモバイル)や国有石油大手の中国海洋石油(CNOOC)に次ぐ3位となった。23年1月4日時点の時価総額は約1460億元(約2兆9200億円)。医療機器メーカーの巨人であるオランダのフィリップス(約1兆8000億円)を上回る。
実際、ユナイテッド・イメージングの医療機器市場における存在感は年々高まっている。調査会社によると、20年における中国市場のシェアで、コンピューター断層撮影装置(CT)は23.2%で2位。磁気共鳴画像装置(MRI)も11.8%で4位に付ける。米国に次ぐ世界2位の市場で、独シーメンス・ヘルシニアーズ、米GEヘルスケア、オランダのフィリップスの「ビッグ3」の牙城を崩しつつある。
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