日本の「お家芸」である工作機械や産業用ロボットでも、中国は技術獲得を急いでいる。その1社である北京精雕科技集団は昨年11月、日本市場に「逆上陸」した。工作機械に必要な構成部品やソフトウエアをすべて内製化するなど、独自技術を武器に市場拡大を狙う。
■この連載ここまで
(1)中国EVの実力、特許分析で鮮明 電池制御や交換など軸にコロナ禍でも出願倍増
(2)窮地のファーウェイ、車載で反攻 中国EVの躍進支える産学官連携
(3)「驚きの投資増」米規制で打撃の中国が見つけたパワー半導体という活路
(4)「禁じ手」も辞さぬ中国の執念 山東省に複合機の一大集積地が出現

2022年11月、東京で開催された日本国際工作機械見本市(JIMTOF)。世界最大級の工作機械展示会で日欧の産業機器が並ぶなか、ある中国企業の工作機械が注目を集めていた。競合する日系メーカー担当者らが続々と視察に訪れる。その中にはファナックの稲葉善治会長の姿もあったという。
工作機器メーカー、北京精雕科技集団のブースで行われていたのは、卵の殻の表面に北京精雕の社名を彫りつけるデモだ。不ぞろいな卵の形状を加工機内でコンピューターが1つずつ認識しながら、薄く表面がでこぼこした殻を割ることなく均一の深さで字を刻み、微細加工の精度の高さをアピールした。


北京精雕はJIMTOFでのお披露目を皮切りに、日本市場に参入。日本の精密工具メーカーにもすでに納入した。日本での総販売代理店を務める機械商社の兼松KGK(東京・中央)の担当者は、加工精度について「独自技術を生かし、究極の微細加工を可能にした」と強調する。
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