新型コロナウイルス禍の間に、中国において電動化など車載分野の研究開発を強化したのは自動車メーカーだけではない。通信大手の中国・華為技術(ファーウェイ)は、車載事業を新たな柱にすべく開発を急いでいる。中国のEV産業躍進を支える産官学連携組織にも迫った。

■この連載ここまで
(1)中国EVの実力、特許分析で鮮明 電池制御や交換など軸にコロナ禍でも出願倍増

 広東省深圳市の華為技術(ファーウェイ)本社近くにある同社の旗艦店。その横側には、関係者のみが知るショールームの入り口が存在する。22年6月にオープンした「IAS(インテリジェントオートモーティブソリューション)体験センター」だ。

「IAS(インテリジェントオートモーティブソリューション)体験センター」に入ると、透明の車体内部にファーウェイが自社開発した車載部品が搭載された展示がお出迎えしてくれる
「IAS(インテリジェントオートモーティブソリューション)体験センター」に入ると、透明の車体内部にファーウェイが自社開発した車載部品が搭載された展示がお出迎えしてくれる

 同12月、そのセンターに入ることを許された取材班を出迎えたのは、透明の車体内部にファーウェイが自社開発した車載部品が搭載された展示だった。EV関連では電気駆動モーターやバッテリー制御ユニット、ギアボックスなどを一体化した基幹部品、自動運転関連では独自OS「鴻蒙(ハーモニー)」や自社開発の半導体を搭載した制御ユニット、高性能センサーの「LiDAR(ライダー)」なども並べられていた。

北京汽車集団傘下のEV事業会社が手掛けた「ARCFOX(極狐)αS」も披露
北京汽車集団傘下のEV事業会社が手掛けた「ARCFOX(極狐)αS」も披露

 これらの技術を搭載する、中国自動車大手・北京汽車集団傘下のEV事業会社が手掛けた「ARCFOX(極狐)αS」も披露されている。「我々が手掛ける車載技術を一堂に集めた」と喬靖驍マーケティングマネジャーは語る。

 車載電池から発生する熱を冬場の車内空調に活用する技術や、モノクロのプロジェクターをヘッドライトに内蔵して道路上にナビゲーションや文字情報を表示するデモなど、開発中の新技術も体感できる。「展示技術は定期的に入れ替える」と喬氏。北京汽車などの提携企業を中心に、数多くの来場者との商談に活用されている。

車載電池から発生する熱を冬場の車内空調に活用する技術の紹介
車載電池から発生する熱を冬場の車内空調に活用する技術の紹介

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