破竹の勢いで成長を遂げてきた中国経済が曲がり角を迎えつつある。不動産市場の低迷に加えて、新型コロナウイルスの厳格な封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策も消費に悪影響を及ぼし始めた。米中対立も改善されないなか、世界2位の経済大国はどこに向かうのか。上海支局長が現地の最新動向をお伝えする。(写真:PIXTA)
シリーズ
佐伯真也が見る中国経済のリアル

25回
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中国在住の日本人研究者、「待遇は日本並み、頭脳流出批判には違和感」
中国が触手を伸ばすのは産業に直結する技術や人材だけではない。基礎科学などの人材獲得にも貪欲に動いている。雲南大学に勤務する島袋隼士准教授に、中国の研究開発環境の現状について聞いた。
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アリババ規制に区切り、ファーウェイ復調 中国IT大手の「二重苦」終わるか
中国政府の規制、米国の経済制裁という「二重苦」に苦しんできた中国IT大手に薄日が差そうとしている。アリババ集団などへの規制がひと区切り、米制裁に苦しむ華為技術の業績も底を打った。もっとも、今後の成長性は不透明なまま。完全…
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予見不可能な中国 先駆者が編み出した3つの戦略「漏洩前提」「撤退基準」「複線化」
堅持してきた「ゼロコロナ政策」をいきなり大転換するなど、中国ビジネスには予見不可能なリスクが付きまとう。切っても切り離せない「世界の工場」「世界の市場」とどう向き合うべきか。日本企業の成功の条件を探る。
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中国BOE、有機EL技術でもサムスン猛追 供給過剰懸念よそに拡大続く
中国ディスプレー最大手の京東方科技集団(BOE)が有機ELディスプレーの開発で韓国勢を猛追している。最先端技術の量産導入が間近に迫り、米アップルの「iPhone」上位モデルへの提供を目指す。数少ない成功モデルといえる中国…
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CATL・BYDだけじゃない 電池主要4部材で中国企業シェア7~8割の衝撃
寧徳時代新能源科技(CATL)と比亜迪(BYD)の中国メーカー2社が存在感を見せる車載電池市場。一方で中国では部材や装置、資源など上流まで遡るサプライチェーンづくりも進む。電池主要4部材では中国企業が世界シェアの7~8割…
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時価総額2.9兆円でフィリップス超え、急成長する中国の新興医療機器メーカー
中国の医療機器メーカー、上海聯影医療科技(ユナイテッド・イメージング・ヘルスケア)が市場での存在感を高めている。2022年8月に上場を果たし、足元の時価総額は2.9兆円を超える。11年創業の新興企業は、いかにして短期間で…
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ついに中国勢が工作機械で日本に「逆上陸」、超精密加工を武器に
日本の「お家芸」である工作機械や産業用ロボットでも、中国は技術獲得を急いでいる。その1社である北京精雕科技集団は昨年11月、日本市場に進出した。工作機械に必要な構成部品やソフトウエアをすべて内製化するなど、独自技術を武器…
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「禁じ手」も辞さぬ中国の執念 山東省に複合機の一大集積地が出現
中国がプリンターなど複合機の「国産化」にまい進している。北東部の山東省威海市では、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業を筆頭に、プリンター関連の一大集積地が形成されつつある。中国市場に進出する日本企業には、中国国内で設計開発や…
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「驚きの投資増」米規制で打撃の中国が見つけたパワー半導体という活路
中国に対する米国の半導体輸出規制が厳しさを増している。ロジックやメモリーといった主要技術の成長にストップがかかりそうだ。足元ではパワー半導体など、先端技術を必要としない領域への投資が拡大する。
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窮地のファーウェイ、車載で反攻 中国EVの躍進支える産学官連携
新型コロナウイルス禍の間に、中国において電動化など車載分野の研究開発を強化したのは自動車メーカーだけではない。通信大手の中国・華為技術(ファーウェイ)は、車載事業を新たな柱にすべく開発を急いでいる。中国のEV産業躍進を支…
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中国EVの実力、特許分析で鮮明 電池制御や交換など軸にコロナ禍でも出願倍増
EVなどの「新エネルギー車」が新車販売台数の約3割を占め、EV大国への道を突き進む中国。新型コロナウイルス禍で世界が混乱する中でも着々と投資を継続している。一体どこまで実力を高めたのか。本誌は特許分析を手掛ける知財ランド…
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「ウィズコロナ」に大転換の中国、市民に広がる歓喜と不安
中国政府はこれまでかたくなに堅持してきた「ゼロコロナ政策」の緩和に踏み切った。政策への不満が爆発した抗議デモがきっかけとなったようだが、政府はウイルスの弱毒化が理由だと強調する。急速な「ウイズコロナ」への転換に対して、歓…
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江沢民元国家主席が死去、習政権悩ます「白紙運動」への影響
中国の江沢民元国家主席が11月30日、96歳で死去した。中国国営の新華社通信が伝えた。死因は白血病と多臓器不全の合併症だった。経済発展を支えた江氏の死去は、中国の今後にどういった影響を与えるのか。
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中国EV、テスラとBYDにシャオミが挑む 日本勢は巻き返せるか
「ゼロコロナ政策」が続く中でも中国で販売好調なEV(電気自動車)。ここにきてホンダやトヨタ自動車といった日本企業も中国でEVを発表し、巻き返しに動き始めた。だが、米テスラは値下げに踏み切り、中国スマートフォン大手である小…
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習主席「対外開放」アピールも貿易統計は低調、中国輸入博が開幕
中国上海市で11月5日から「中国国際輸入博覧会」が開幕し、習近平国家主席は「対外開放」政策の堅持をアピールした。米中のデカップリング(分断)が進む中でも、企業の中国市場の開拓意欲は依然として高い。だが「ゼロコロナ政策」に…
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習政権「異例の3期目」へ中国共産党大会開幕、権力集中が冷やす経済
5年に一度開催される中国共産党の党大会が10月16日に開幕した。習近平政権が「異例」となる3期目に突入する。「習近平1強」がより強まる格好だが、その弊害は中国経済にも影響を与えかねない。
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中国最大級の育児メディア、運営するのは日本のスタートアップ
中国で人気の育児メディア「Babily (ベイビリー)」。運営するのは日本のスタートアップ、Onedot(ワンドット)だ。動画メディアがひしめく中国で、どのようにしてユーザーの支持を集めたのか。
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EV特需に沸く中国、でも完成車メーカーはもうからない
新型コロナウイルスの感染再拡大で、成長に急ブレーキがかかった中国経済。各地で起こる「異変」を調べると、習近平政権が犯した3つの失策が見えてきた。連載の最終回は、不動産を筆頭に苦戦が続く中国経済の中でも、数少ない成長産業で…
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ゼロコロナ政策続く中国国民の本音、「怖くて旅行には行けない」
新型コロナウイルスの感染再拡大で、成長に急ブレーキがかかった中国経済。当局による規制が、様々な業界の成長を阻害し始めている。学習塾は壊滅的な打撃を受け、業態転換にあえぐ。最も規制が厳しいネット大手では、業績が頭打ちになる…
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塾もネット大手も……中国の過度な規制が阻むイノベーション
新型コロナウイルスの感染再拡大で、成長に急ブレーキがかかった中国経済。当局による規制が、様々な業界の成長を阻害し始めている。学習塾は壊滅的な打撃を受け、業態転換にあえぐ。最も規制が厳しいネット大手では、業績が頭打ちになる…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
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ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
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グルメサイトという幻
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この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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