京都信用金庫(京信、京都市下京区)は、取引先への融資だけでなく、あらゆる課題解決に貢献する「おせっかいバンカー」の育成を経営方針に掲げる。金融知識だけでなく幅広い視野を持つ異能へと職員一人ひとりを育てる。そのためには企業風土改革から始めなければならない。そう考えた理事長の榊田隆之は「日本一コミュニケーションが豊かな会社になろう」とぶち上げた。

■特集のラインアップ
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NTT東でトマトやレタスを栽培 “左遷”が鍛えた肌感覚
前例踏襲の上司に盾突き、事業費を20億円減らした地方公務員
地銀の「逆張り」デジタルバンク、生み出したふくおかFGの異端児
一度はボツも再提案で実現 ぶどう栽培に挑む三井不動産社員の執念
始まりは飲み会 公務員5000人をつなぐ異色官僚が描く未来図
ピーチ生みの親はANAトップへ 傍流での成長支えた「山ごもり」
川崎重工、帝人…上り詰めた傍流社長が体得した「異端の流儀」
京都信金、「2000人対話」が育む“おせっかいバンカー”の神髄(今回)
樋口泰行氏が挑む変革「パナソニックの嫌だった社風を潰していく」
KADOKAWA夏野氏「1割の異端が起こす変革、残り9割は邪魔をするな」
日揮の脱炭素ビジネス 「Yes, and」で導く門外漢リーダー

「おせっかいバンカー」の育成を推進する京都信用金庫理事長の榊田隆之(写真:山田哲也)
「おせっかいバンカー」の育成を推進する京都信用金庫理事長の榊田隆之(写真:山田哲也)

 「何でもかんでもとは言わない。1回だけ、日本一という言葉を使わせてほしい。我々は『日本一コミュニケーションが豊かな会社』を目指そう」。2018年6月に京信の理事長に就任した榊田隆之は、全職員に向かってこう宣言した。

 京信は総資産額が約3兆5601億円(22年3月末時点)と、信用金庫業界では上位に入る。しかし同じ京都市内には総資産額が6兆円超と全国トップの京都中央信用金庫(京都市下京区)がある。

 規模で劣る京信は、従来の金融の枠にはとらわれない姿を模索。「資金の融資だけでなく、事業主が抱える課題解決こそが21世紀のバンカーの役割」(榊田)と見定めた。

 その実現には2つの課題があった。1つは、これまで金融知識だけを磨いてきた職員たちが、幅広い課題に対応できるかどうか。もう1つは、営業ノルマのような自分の成績ではなく、顧客に喜んでもらうことを自分の仕事の喜びにつなげられるかどうか。どちらも職員の意識改革なしにはなし遂げられないことだった。

 「人を生かすも殺すも組織の風土。組織風土から変えなければ人は育たない」。そう考えた榊田が導き出したのが、冒頭の「日本一コミュニケーションが豊かな会社」だった。

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