総務省から出向して神奈川県で理事(いのち・未来戦略担当)を務める脇雅昭は、全国の公務員のつなぎ役という別の顔も持つ。知り合い60人を集めた飲み会に始まり、現在は全国5000人以上の公務員が集まるプラットフォームを開くまでになった。「交流を通じて、よその市役所には別のやり方があることを知れば、前例踏襲主義を破るきっかけになる」(脇)。度を越した人懐こさが持ち味の“異色官僚”が巻き起こした渦は、公共の力を大きく高めようとしている。

■特集のラインアップ
異端児に託す JR西、新事業の旗手はくすぶる若手集団
損保ジャパンが自動運転向け保険開発、支えた異端児の執念
「空調機には興味ない」 ダイキンで電力会社を興した反骨の技術者
「私を部長から降ろしてください」住友ゴム技術者、57歳からの挑戦
あえてスローな乗り物で街を元気に、関電の異端エリートが見る風景
NTT東でトマトやレタスを栽培 “左遷”が鍛えた肌感覚
前例踏襲の上司に盾突き、事業費を20億円減らした地方公務員
地銀の「逆張り」デジタルバンク、生み出したふくおかFGの異端児
一度はボツも再提案で実現 ぶどう栽培に挑む三井不動産社員の執念
・始まりは飲み会 公務員5000人をつなぐ異色官僚が描く未来図(今回)
・ピーチ生みの親はANAトップへ アウトロー社長、その成長物語
・川崎重工、帝人…上り詰めた「傍流社長」が振る変革のタクト
・京都信用金庫 おせっかいバンカー育む企業風土改革
・パナソニックコネクト樋口社長「嫌だった社風、一つひとつ潰す」
・KADOKAWA夏野社長「改革目指す1割の社員 周囲は邪魔せず応援せよ」

 きっかけは恩返しだった。

 脇が入った総務省は地方自治も所管することから、職員は県庁や市役所への出向を繰り返しながらキャリアを築いていく。2008年に入省した脇も、すぐさま熊本県庁へと赴任した。

 熊本県庁での2年間は充実したものだった。職場の先輩たちは、オンとオフに関係なく脇を連れ回して、様々な出会いを与えてくれた。「行政の仕事は幅広い。世の中で関わらないことなどおよそない。それを痛感した」と、当時を振り返る。

総務省から出向し、神奈川県庁で勤務する脇雅昭は、47の都道府県の地方公務員と中央省庁で働く官僚が500人以上集まる「よんなな会」を主宰。全国5000人以上の公務員が集まるプラットフォーム「オンライン市役所」も立ち上げた(写真:都築雅人)
総務省から出向し、神奈川県庁で勤務する脇雅昭は、47の都道府県の地方公務員と中央省庁で働く官僚が500人以上集まる「よんなな会」を主宰。全国5000人以上の公務員が集まるプラットフォーム「オンライン市役所」も立ち上げた(写真:都築雅人)

 総務省に戻ってからも、熊本時代の人脈は生きた。法律をつくるにあたって、「これは実際に現場でワークするのだろうか」という疑問を、率直にぶつけられるのは県庁時代の先輩だった。

 与えてもらったものの重さを実感する一方で、周りを見渡すと、脇とは逆に中央省庁に出向してくる地方自治体の職員は目の前の仕事に追われるばかり。広く交流している様子は見られない。

 「入省わずか3年目の自分でもできることは何かないか」。悩んだ脇が出した結論は、飲み会だった。

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この記事はシリーズ「会社を変える異端児たち」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。