不動産会社がぶどう栽培!? 驚きの新規事業を興したのは三井不動産の社員3人だ。「ぶどう栽培と不動産業にシナジーはあるのか?」そんな上司からの疑問の声にいったんは頓挫するも、新たにスタートした新規事業提案制度で見事第1号に選ばれた。3人の熱意に加え、選定に関わった社外の人たちから見れば、実は不動産業と共通点があったからだ。社内の論理ではなく、広い視野を持つ必要がある。

■特集のラインアップ
異端児に託す JR西、新事業の旗手はくすぶる若手集団
損保ジャパンが自動運転向け保険開発、支えた異端児の執念
「空調機には興味ない」 ダイキンで電力会社を興した反骨の技術者
「私を部長から降ろしてください」住友ゴム技術者、57歳からの挑戦
あえてスローな乗り物で街を元気に、関電の異端エリートが見る風景
NTT東でトマトやレタスを栽培 “左遷”が鍛えた肌感覚
前例踏襲の上司に盾突き、事業費を20億円減らした地方公務員
地銀の「逆張り」デジタルバンク、生み出したふくおかFGの異端児
一度はボツも再提案で実現 ぶどう栽培に挑む三井不動産社員の執念(今回)
始まりは飲み会 公務員5000人をつなぐ異色官僚が描く未来図
ピーチ生みの親はANAトップへ 傍流での成長支えた「山ごもり」
川崎重工、帝人…上り詰めた傍流社長が体得した「異端の流儀」
京都信金、「2000人対話」が育む“おせっかいバンカー”の神髄
樋口泰行氏が挑む変革「パナソニックの嫌だった社風を潰していく」
KADOKAWA夏野氏「1割の異端が起こす変革、残り9割は邪魔をするな」
日揮の脱炭素ビジネス 「Yes, and」で導く門外漢リーダー

三井不動産の事業提案制度でぶどう栽培を始めた大場修(右)と鏑木裕介(左)。2度目の挑戦で、本業とのシナジーよりも社会的な意義が認められた(写真:都築雅人)
三井不動産の事業提案制度でぶどう栽培を始めた大場修(右)と鏑木裕介(左)。2度目の挑戦で、本業とのシナジーよりも社会的な意義が認められた(写真:都築雅人)

 2019年12月、三井不動産は一風変わった子会社を設立した。日本とニュージーランドで大規模なぶどう生産を目指す「GREENCOLLAR(グリーンカラー)」(東京・中央)だ。

 北半球の日本と南半球のニュージーランドとでは、季節が正反対。ニュージーランドで生産すれば、日本で品薄な3~4月に収穫・販売ができる。それだけではない。ぶどう栽培は春~秋にかけて作業が集中する一方、冬場は作業がほとんどない。このため作業従事者の雇用が安定しないという課題がある。

 グリーンカラーは、日本とニュージーランドの農場を行き来させることで、通年雇用を実現。収穫を年2回経験できるので、栽培スキルもより早く高められるという。

 日本の農業の課題解決につながる新事業で、社会的意義もある。ただし、不動産業とのシナジーは薄い。実際、社内ベンチャーとして産声を上げるまでには紆余曲折(うよきょくせつ)があった。

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