「新しいテクノロジーで国が発展する」

千野 そこがすごく日本として残念ですよね。Web3の基盤技術のところに日本の開発者がいない。じゃあ、今から「日本発のブロックチェーンを作りましょう」と言っても、世界の勢力図は固まりつつあるので厳しい。

 やはり日本の社会制度自体が明治時代から変わってない、中央集権的な発想から日本の人々が抜け出せていないのが最大のボトルネックです。日本で育って、日本で働いていると、DAO(分散型自律組織)に積極的に入っていくという発想がないんですよ。いろいろな面白いDAOが出てきているにもかかわらず、依然としてお金を稼ぐ手段としては、中央集権的な企業にエントリーシートを書いて、面接して、仕事を得て、就業規則に従って働きます、みたいな価値観があまりにも強く刷り込まれている。

佐藤 日米の社会構造を比較するのは少し乱暴だと思うんですけど、アメリカがすごいなと思うのは、目的がはっきりしていることではないでしょうか。例えば「資本市場を大きくするのは国力なんだ。だからそれを大きくするために規制は作らない」とか。暗号資産についても規制をある程度ファジーにしているから、ここまで拡大でき、DeFiが作られてきた。

 NFT(非代替性トークン)のマーケットプレイスで最大なのはオープンシーで、北米生まれのものです。極めつきはノンバンクが発行したUSDC(USDコイン)とUSDT(テザー)。この2つの米ドルにリンクするステーブルコインが、世界の暗号資産取引ではなくてはならないものにまで肥大化しています。アメリカはここ数年で、堂々と社会実験を民間にさせて、トライ&エラーをした上で、Web3に向かってきた。目的がはっきりしているので、非常にシンプルですよね。

「アメリカがすごいなと思うのは、目的がはっきりしていること」と指摘する佐藤さん
「アメリカがすごいなと思うのは、目的がはっきりしていること」と指摘する佐藤さん
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千野 やっぱり国の考え方が根本的に違っていて、アメリカは常に新しいテクノロジーやイノベーションが国の成長に寄与してきたという確固たる経験と自信があると思うんです。国の経済が発展するためには新陳代謝が必要で、規制は基本的に原理原則、プリンシプルベースです。

 日本は新しい技術が出てきたときに、まず先行事例を探すんですね。暗号資産の先行事例は何かと考えると、金融に近いなと。そこで金融商品取引法のフレームを使って、資金決済法に当て込み、仮想通貨交換業(現・暗号資産交換業)という業を作った。明確化はされたけれども、イノベーションに対しては国や政府が枠にはめてしまう。前例踏襲主義。そこが日本とアメリカのマーケットにすごく差が出てきた原因だと思います。

佐藤 とはいえ、Web3の時代、2030年の世界を考えると、主人公は今の子どもたちですよね。彼らの未来を真剣に考えるには、どうしたらいいんでしょう?

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