好奇心と気合でグローバルに挑む

渡辺 今も誰よりも仕事をしていると思います。だってグローバルだからタイムゾーンも違うし、朝から晩まで働いてますよ。

千野 でも、働くの好きでしょ(笑)。もちろんマネジメントしていて、責任があるからやらなきゃいけないのもあるだろうけど、楽しいからですよね。きっと時間的な大変さを凌駕(りょうが)する何かがあるはずです。既存の社会的権威や上下関係と関係のないDAO的な社会では働き方も変わってくると思います。どうでしょう、これから第2、第3の渡辺創太は出てきますか。

渡辺 僕ってスキルセットだけで見れば、誰でも代替可能なんですよ。英語のネーティブスピーカーじゃないし、天才プログラマーでもないわけです。最初からブロックチェーンにアドバンテージがあったわけではない。だから結局、好奇心と気合ですよね。

千野 気合! 面白いですね。ブロックチェーンの話をしているのに、実は気合が大事という根性論(笑)。

そこだけ聞くと、日本の子どもは「自分もできるかも」と思うかも。

渡辺 思ってほしいですね。

千野 「どうせ無理だよ」とか言われたことはありましたか。

渡辺 シリコンバレーに行ったとき、現地の日本から来た駐在員に「大学生だし、シリコンバレーの企業で働くのは難しいと思うよ」とか、めっちゃ言われたんですよ。でも、働けました。とはいえ、僕はただ単にいっぱいメールを送ってアプローチしただけなので、特別なことはしていません。誰でもできることですよ。

千野 でも、それをやり切ったんですよね。

渡辺 何かを始めるとき「お前には無理だよ」という人は出てくるけど、その人たちはたいていやったことがない。だから、あんまり気にせずに、視座を高く持ち、気合で乗り切ればいい。

 これは人生の法則ですが、人はすごく厳(おごそ)かに見えるドアは開けないんです。「違うドアから遠回りしたほうが早そうだな」と思ってしまう。例えば、社会にインパクトを与えたいのに、まずは大企業で働いて、次に転職して、キャリアアップしてベンチャー行く、みたいな積み上げ方式ですよね。

 でも、実はすごく近寄りがたく見えるドアも、片手で開くことって多い。たいてい、そういうところにチャンスがあります。

千野 誰もそんなルールを設定していないのに、日本人は勝手にあきらめているのかもしれないですね。空気を読まない、そこを打破する勢いのある人物がWeb3では求められているのかもしれません。

渡辺 そう。周りの人はそんなに自分のことを気にしていません。だから気にせず、やりたいことをやったほうがいいです。

「空気を読まない、そこを打破する勢いのある人物がWeb3では求められているのかもしれません」と語る渡辺さん(左)と千野さん
「空気を読まない、そこを打破する勢いのある人物がWeb3では求められているのかもしれません」と語る渡辺さん(左)と千野さん
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文/三浦香代子 構成/雨宮百子(日経BOOKプラス編集部) 写真/小野さやか

日経BOOKプラス 2022年7月25日付の記事を転載]

出遅れた我々に、復活の道はあるのか?

DAO(分散型自律組織)、NFT(非代替性トークン)、ステーブルコインほか、仮想通貨とWeb3.0をめぐる最新の動向を解説。米大手暗号資産取引所の日本代表だから語れる、金融とITの未来!

千野剛司(著)/日本経済新聞出版/1980円(税込み)

この記事はシリーズ「仮想通貨とWeb3.0革命で世界はどう変わるのか」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。