航続距離や充電インフラ、車両コストなど、本格普及には様々な課題が指摘されてきた電気自動車(EV)。しかし今、消費者の現実的な選択肢となり、ガソリン価格高騰でその流れは加速している。果たしてこれは、一部の国・消費者だけの動きなのか。それとも世界的な潮流か。日本では慎重論も根強いEVシフトがどこまで進んでいるのか。今回はEVをテコに自動車産業のゲームチェンジを狙う中国の消費者に聞いた。

■今後のラインアップ
1. 世界はなぜEVを選ぶのか 補助金・燃料高で「安い」?
2. 「日本車に候補なかった」 中国、テスラオーナーの本音(今回)
3. 米国、「テスラ効果」新興勢へ 日本、軽EVは市場を変えるか
4. 独SAPは社用車をEVシフト 脱炭素で企業が「まとめ買い」
5. フォードの決断 EV大量生産へ攻めの巨額投資
6. 電池再利用という金脈 ノースボルト、レッドウッドの狙い

 中国・上海市在住の胡静躍さんは、大の日本車びいき。自動車整備工、運転手、ハイヤー会社の経営と65歳の今までずっとクルマに関わる仕事をしてきた。修理や改造はお手の物で「日本のメーカーの技術力は高く、デザインもよい」と語る。今乗っているのはトヨタ自動車のカローラだ。

中国・上海市在住の胡静躍さんは日本車から米テスラの「モデルY」に乗り換える
中国・上海市在住の胡静躍さんは日本車から米テスラの「モデルY」に乗り換える

 そんな胡さんが次のクルマに選んだのは米テスラの多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」。「残念ながら今は日本メーカーにはいい候補がなかった」と語る。車体も座席シートもフロアマットもお気に入りの白で統一。納車予定の12月を指折り数えて待つ日々だ。

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