もちろん、EV発売が早かったルノーと日産自動車のユーザーも多い。ドイツ在住のズュンダーマンさんは20年10月にルノーのゾエを購入した。表示価格は2万7000ユーロだったが、メーカーと政府から1万ユーロの補助があり、1万7000ユーロ(約230万円)で購入した。以前は米フォード・モーターのガソリン車であるフォーカスを利用していた。

 平日や休日など毎日のようにゾエを利用するズュンダーマンさんは、「経済的で運転がしやすい。これまで購入した中で最高のクルマだ」と語る。充電時間が長いのが課題だが、次もEVを購入すると決めている。

 デンマーク出身のアンナさんは19年に環境に良いという理由で日産のリーフを購入。普段は自宅で充電するので問題ないが、デンマーク北部に住んでいるため充電インフラが整っておらず、遠出には気を使っている。以前、寒い中で電池が切れ、ロードサービスが来るまで2時間ほど立ち往生した経験がある。ただ徐々に充電インフラが整いつつあるので、次もEVを購入したいと話した。

 ドイツ在住のレッシュさんは21年4月に、小型EVを2万3000ユーロで購入した。メーカーとドイツ政府から9000ユーロの補助を受けたため、実質的な負担は200万円以下だ。通勤や買い物のために毎日EVを利用しており、コストと乗り心地に非常に満足しているという。課題を聞いたところ、「車両が重いためにタイヤの摩耗が早い」という点を挙げた。

トヨタ愛好家がVWに乗り換え

 欧州では新しい物好きや環境意識の高い人だけがEVを選択しているわけではない。様々な優遇制度があるノルウェーでは新車販売に占めるEV比率が22年3月に8割を超えた。

 「EV販売比率80%超のノルウェー、気になる日本車の存在感は?」でも紹介したが、ノルウェーの消費者の声も聞いてみよう。

 オスロ在住のマーガレットさんはトヨタ自動車の「カローラ」や「ヤリス」「オーリス」を乗り継いできた、30年間ほどのトヨタ愛好家。「我が家にはセカンドカーはない。だから耐久性や安全を重視している」と話す。

オスロ在住のマーガレットさんはトヨタ車を乗り継いできたが、EV購入の際にVWに切り替えた
オスロ在住のマーガレットさんはトヨタ車を乗り継いできたが、EV購入の際にVWに切り替えた

 ノルウェーではエンジン車の税金が高いこともあり、マーガレットさんもEVの購入を検討。「できればトヨタ車を買いたいがEVがなかった。だから最も信頼できそうな最大手のVWを選んだ」と振り返る。41万ノルウェークローネ(約560万円)でVWの「ID.3」を購入した。

 ノルウェーの消費者の中で今、有力な選択肢になっているのが韓国勢と中国勢だ。「何より安いからね」と韓国・起亜のEV「ニロ」について語るのは、アブディ・ムハンマドさん。21年におよそ37万クローネ(約500万円)で購入したという。日本では安いクルマとはいえないが、物価の高いノルウェーでは相対的に安い。自家用車をライドシェア向けに使うこともあり、維持費の安さに助けられているという。

オスロ在住のラーズ・エリックさんは、中国の小鵬汽車のEVをリースで利用する
オスロ在住のラーズ・エリックさんは、中国の小鵬汽車のEVをリースで利用する

 ラーズ・エリックさんは中国・小鵬汽車のEV「G3」を利用する。リースで月間およそ5000クローネ(約7万円)を支払っているという。「ブランドにこだわらず、コストパフォーマンスを比較して選んだ」と話す。

 欧州市場のほぼ全てがエンジン車だった時代には、欧州メーカーや日本メーカーの存在感が際立っていた。EV市場においても米テスラやVWが優勢だが、EV需要の高まりとともに、韓国勢や中国勢のEVなど消費者にとっての選択肢が広がりを見せている。

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