各技術群の実用化が始まる2030年がめど

 近い将来に確立する人間拡張によって仮想と現実との境が溶ける。現実と仮想とが相互作用するうちに互いの境界は限りなく薄くなっていくだろう。では、人間拡張によってどのように仮想と現実との境が溶けるのだろうか。

 少し未来に考えをはせてみよう。例えば現実から仮想への境はどうなるのか。

 思考のアップデートの要素技術であるBMI(ブレインマシンインターフェース)の進化によって、現実世界で思考するだけで仮想世界を創造しアバターを動かす――。あなたが「こうしたいな」と思うだけで、ネット上で買い物ができたりオンラインゲームで戦ったりできるのである。

 もう一方の仮想から現実への境。

 知覚のアップデートの要素技術である「感覚の保存・他者共有」は仮想から現実への境を無くすことが可能だ。仮想世界で体験したことを現実世界の自分に“五感を伴って”フィードバックすることができ、あたかも現実世界で体験しているかのように感じられるだろう。仮想世界で身に付けた技能を現実世界でも生かす。そんな時代が来るかもしれない。

(C)2022. BayCurrent Consulting, Inc.
(C)2022. BayCurrent Consulting, Inc.
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 多くの人が仮想世界にシームレスに接続でき、仮想世界の体験が現実にも影響を及ぼす――。こんな世界が実現すれば、より多くの人がメタバースを活用するようになるだろう。現実・仮想を意識することなく知らず知らずのうちに行き来することで、1万年以上前から変わっていない人間の身体的・心理的性質は様変わりする。人々の生活も、より便利に楽しく豊かなものになるだろう。

 メタバースは今、持てるポテンシャルのほんの一部が見えているにすぎない。進化途中の仮想世界における「世界創造」と、これから全貌が見えてくるであろう現実世界の「人間拡張」の両輪が開花して初めて、メタバースの真価が発揮される。この両輪が本格的に動き出せば、人間の生活やビジネス社会のパラダイムシフトが一気に起こるはずだ。

 それはいつ起こるのか。人間拡張の関連技術群の実用化が本格的に始まる2030年が1つのめどになるだろう。

 メタバースの取り組みで先行している企業の間では現在、未来像の探究から一歩進んで実現に向けての課題の洗い出しが進んでいる。例えば、本人確認のために仮想世界のアバターと現実世界の個人の真贋(しんがん)性をいかに担保するかや、仮想空間における“モノ”の所有権をどのように解釈するかなどである。今後は幅広い業界で、メタバースに関するルールや法律などの議論が本格化していく見込みだ。今からキャッチアップしていくことをぜひとも考えたい。

 次回以降では、人間拡張によって現実と仮想とが融合された近未来において、人々の生活や働き方がどのように変貌するのか、そしてその萌芽(ほうが)を見ていく。

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12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
 日経ビジネスLIVEでは書籍発行に連動したウェビナーシリーズを開催します。第1回目は12月15日(木)19:00~20:00、「『安売りが外食苦境の根源だ』ファミレスをつくった男が激白」がテーマです。講師として登壇するのは1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業した横川竟氏と、外食経営雑誌『フードビズ』の神山泉主幹です。書籍を執筆した記者の鷲尾龍一がモデレーターとなり、視聴者の皆様からの質問もお受けします。ぜひ、議論にご参加ください。

■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。有料会員以外は3300円(税込み)となります。
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