CDO(Chief Digital Officer=最高デジタル責任者)の履歴書シリーズの最終回である今回は、デジタル組織形態の最新トレンドと、各組織形態を代表する企業とけん引するリーダーの事例から、今後求められるCDO像を考察してみたい。

デジタル変革の2つのモードと、CDOの役割

 デジタル組織形態の最新トレンドを理解・考察するには、「デジタル変革の2つのモード」と「CDOの役割」の理解が欠かせない。2つのモードは、「デジタルインテグレーション(DI)」と「デジタルトランスフォーメーション(DX)」である。DIはデジタル技術を活用したビジネスモデルの高度化を、2つ目のDXは、デジタル技術によるビジネスモデルの転換を意味する。

 詳細は前回記事「CDOが果たすべき3つの役割、問われる『履歴書』」で詳しく述べている。また前回記事では、「CDOの役割」も提示した。①既存ビジネスモデルの急所へのデジタル統合、②ビジネスモデル要素の転換による既存モデルの破壊、③DIとDXの実現に必要なシステム再構築の3つがそれである。①はDI、②はDX、③はITの領域の変革をそれぞれ実現していく役割ととらえていただければよい。

 上記認識のもとで、まずはデジタル組織形態の最新トレンドの概観から話を始めたい。

デジタル組織は、3つの形態へと進化

 DXやDIを推進するためのデジタル組織は2015年ごろから日本の大企業で散見されるようになり、17年ごろから設立のペースがぐっと速まった。その形態は各社ほぼ共通で、「①DIと②DXを担うデジタル部門」と、以前から存在する「③ITを担うシステム部門」の2つの部門で3つを構成していた。デジタル部門が当時のCDOの管掌範囲であり、その頃は①DIと②DXの違いを明確に意識していない企業がほとんどであった。その後、リーディングカンパニー各社の試行錯誤を経て、直近ではDIとDXを分離し、主に3つの組織形態に至っている。

デジタル組織の三形態
デジタル組織の三形態
(C)2022. BayCurrent Consulting, Inc.
[画像のクリックで拡大表示]

 第1形態は、「①DI」「②DX」「③IT」の3つの役割ごとに部門を分け、管掌役員も別々に立てる「独立型」である。異なるミッション・性質を持つ部門は責任者と共に別物とし、適宜連携させる考え方である。それぞれの役割が明確になり活動の鋭さが増すメリットがある半面、トップを担う役員クラスが分かれていると、部門間連携が鈍くなりがちなのがデメリットである。セクショナリズムが強まれば、密接な関係にあるDIとITの一体的な推進を行いにくくなる点も見逃せない。

 第2形態は、「①DIと③ITを統合した既存ビジネス革新部門」と、「②DXを担う新規ビジネス開発部門」の2つに分け、それぞれ管掌役員を立てる「DI/DX型」である。既存ビジネスへのデジタル統合であるDIを果たすには、それを支えるITコンポーネントについて、整合性を保ちながら再構築・再編成する必要がある。これを担うDI・IT責任者には既存ビジネスの深い理解と相当な突破力などが求められる。この要件を満たす人材がいるならば、DIとITを1人の役員が管掌することは、既存ビジネスの革新を大きく加速させるだろう。