人口動態や市況の先行きに不透明感があっても、なお「東京は買い」とみるのが海外投資家だ。グローバルな視点で見た投資先としての魅力は何なのか。ブラックストーン・グループ・ジャパンの橘田大輔代表に聞いた。

■連載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)東京都心でも人口流出 オフィス過剰「2023年問題」は防げるか
(2)映画ロケに都市計画、複雑都市「TOKYOモデル」が世界で売れる
(3)経済規模はオランダ以上、データで見る東京の強さ
(4)東京をユニコーンの“揺りかご”に 起業の街への巻き返し
(5)東京に攻め込む海外ユニコーン、未開拓の巨大市場が魅力
(6)「人口減に合わせた再開発を」 西川弘典東急不動産HD社長
(7)「東京の“武器”、リニアを生かした街づくり」 市川宏雄・明治大学名誉教授
(8)「それでも東京は買い」の真意 ブラックストーン日本・橘田大輔代表
(9)「環境意識の変革が五輪のレガシー」、小宮山宏東京大学元総長
(10)「消滅可能性都市からのリベンジ」、高野之夫豊島区長
(11)「テレワーク定着もオフィス床は減らず」、トーセイ山口誠一郎社長

橘田大輔(きった だいすけ)氏
橘田大輔(きった だいすけ)氏
ブラックストーン・グループ・ジャパンの代表取締役ならびにシニア・マネージング・ディレクター。日本における同社不動産グループの責任者。2008年のブラックストーン入社以来、日本国内におけるさまざまな不動産投資案件の発掘や投資の実務に携わる。ブラックストーン入社以前はドイツ銀行で国内の不動産取引の組成・執行を担当。米コーネル大学ホテル経営学部で学士を取得

投資家として、東京の魅力はなお大きいとのことですが。

橘田大輔ブラックストーン・グループ・ジャパン代表(以下、橘田氏):ゲートウェイシティと呼ばれる東京は、そのサイズが圧倒的に大きい。首都圏でみると人口は約3600万人もあり、メトロポリタンシティとしても、エリアとしても世界最大です。人口動態でいえば、常に安定増加する都市の一つです。日本の中では、東京への人口流入が継続するとみています。

 さらに、安全できれいな東京は、政治・経済面で安定している数少ない都市の一つであり、投資家にとって安心感があります。現在のマーケット環境では、ダウンサイドのリスク回避が重要です。流動性が高い東京の不動産マーケットは、アジアの中でも最上位の位置づけなのです。

マクロの金融環境の観点では、金利上昇は不動産投資にネガティブではありませんか。

橘田氏:将来の金利上昇も想定したうえで、それでも日本の不動産マーケットは堅いとみられ続けています。その理由の一つとして、日本では個人や企業が不動産に投資する文化が流動性の高さにつながっており、投資活動を支えているという環境があります。

 安定した金融システムも投資環境を支援しています。証券化商品などのリスクが知らないうちに分散されていた金融危機時とは違い、現在は銀行が適正なリスク管理を行っています。高いレバレッジをかけた貸し出しは行われていません。また、日本の金融機関にも不動産鑑定士がいて、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)モデルなど金融工学を使って分析しています。

 世界中の投資家は米国、欧州不動産市場のエクスポージャー(投資残高)を過去数年で増やしています。その中で、アジアにおけるエクスポージャーを増やしたいと考えています。特に日本には東京や大阪、名古屋、福岡といったマーケットが大きい都市があります。長期的には海外投資家からの投資意欲は減らないでしょう。なかでも東京は、案件も多様で投資をしやすい環境にあります。交通システムなどの安定も優位性の一つです。東京は、常に人と投資家を集め続けていくでしょう。

例えば東京ではどんな投資機会がありますか。

橘田氏:日本企業はノンコア事業で不動産を保有するケースが多い。こうした企業とパートナーシップを組み、ノウハウを提供して投資する機会が多くあるでしょう。本社として使うオフィスなどをリースバックに出してもらったり、保有する不動産を共同事業で運営して収益力を高めたりする選択肢もあります。

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この記事はシリーズ「岐路に立つTOKYO ~進化か、衰退か~」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。