東京を巨大市場ととらえ、新しい需要の開拓に挑む海外ユニコーン企業。彼らに共通するのは、日本の弱点をくみ取って商機をつかむ点にある。海外発のスタートアップが東京で飛躍し、グローバルリーディングカンパニーとして確固たる地位を築こうとしている。

■連載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)東京都心でも人口流出 オフィス過剰「2023年問題」は防げるか
(2)映画ロケに都市計画、複雑都市「TOKYOモデル」が世界で売れる
(3)経済規模はオランダ以上、データで見る東京の強さ
(4)東京をユニコーンの“揺りかご”に 起業の街への巻き返し
(5)東京に攻め込む海外ユニコーン、未開拓の巨大市場が魅力
(6)「人口減に合わせた街づくりを」、西川弘典東急不動産HD社長
(7)「それでも東京は買い」の真偽、ブラックストーン日本・橘田大輔代表
(8)市川宏雄・明治大学名誉教授が語る「リニア開通後の東京」
(9)「環境意識の変革が五輪のレガシー」、小宮山宏東京大学元総長
(10)「消滅可能性都市からのリベンジ」、高野之夫豊島区長
(11)「テレワーク定着もオフィス床は減らず」、トーセイ山口誠一郎社長

コクヨ東京品川オフィスもインファームを導入し、育てた野菜やハーブの販売を始めた(写真:Stanislav Kogiku/PBMC)
コクヨ東京品川オフィスもインファームを導入し、育てた野菜やハーブの販売を始めた(写真:Stanislav Kogiku/PBMC)

 東京から世界を目指す企業が少ない一方、海外のユニコーン企業はこぞって東京に攻め込んでいる。未開拓の巨大市場が広がっているからだ。

 ファーミングユニットという“農場”を店頭に置き、育てた野菜をその場で売る。「店産店消」という都市型農法を提唱するInfarm(インファーム)は、アジア初の進出地に日本を選び、東京・渋谷に拠点を構えた。

インファームのエレズ・ガロンスカCEO(写真中央)は、気候に左右されることなく、いつでもどこでも野菜を育て、収穫できる水耕栽培装置「ファーミングユニット」を開発。2013年にドイツのベルリンで創業し、21年12月には2億ドルの資金を調達してユニコーン企業の仲間入りを果たした(写真:Tom Jackson/The Times/News Licensing)
インファームのエレズ・ガロンスカCEO(写真中央)は、気候に左右されることなく、いつでもどこでも野菜を育て、収穫できる水耕栽培装置「ファーミングユニット」を開発。2013年にドイツのベルリンで創業し、21年12月には2億ドルの資金を調達してユニコーン企業の仲間入りを果たした(写真:Tom Jackson/The Times/News Licensing)

 ドイツ・ベルリンで創業し(現本社はオランダ・アムステルダム)、インファームをユニコーン企業に導いたエレズ・ガロンスカCEOは、日本の生鮮野菜の高い需要に目を向けた。

 「特に東京は世界的に有名な食の街で、若者が多く、活気に満ちている。テクノロジーを活用した屋内農業は、若者にとって就農の新たな選択肢となり得る。異常気象や自然災害のリスクは年々高まっているが、当社の栽培システムを導入すれば、気候に左右されず、化学農薬を一切使用しない新鮮な野菜を、年間を通じて供給できる」(ガロンスカ氏)

 既にスーパーの紀ノ国屋、サミットの一部店舗、文具大手コクヨの東京品川オフィスなどに導入先が広がっている。食料価格が高騰していることもあり、一定量を安定的に生産できるインファームの“店内農場”への引き合いは増す一方だ。

 東京・六本木。超高層ビル「東京ミッドタウン・タワー」の18階に、世界的なスタートアップが集うシェアオフィスがある。海外企業の日本進出を支援するジャパン・クラウド・コンピューティング(東京・港)と合弁で立ち上げられた日本法人が、ここに続々と入居しているのだ。

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この記事はシリーズ「岐路に立つTOKYO ~進化か、衰退か~」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。