世界有数の大都市・東京がビジネスで世界に後れを取っている。国の成長をけん引する企業価値10億ドルを超える未上場企業ユニコーン企業の輩出数が相対的に少ないのだ。成長企業を増やすために、どう動くか。「再起動」の舞台裏を追った。

■連載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)東京都心でも人口流出 オフィス過剰「2023年問題」は防げるか
(2)映画ロケに都市計画、複雑都市「TOKYOモデル」が世界で売れる
(3)経済規模はオランダ以上、データで見る東京の強さ
(4)東京をユニコーンの“揺りかご”、起業の街への巻き返し
(5)東京に攻め込む海外ユニコーン、未開拓の巨大市場が魅力
(6)「人口減に合わせた街づくりを」、西川弘典東急不動産HD社長
(7)「それでも東京は買い」の真偽、ブラックストーン日本・橘田大輔代表
(8)市川宏雄・明治大学名誉教授が語る「リニア開通後の東京」
(9)「環境意識の変革が五輪のレガシー」、小宮山宏東京大学元総長
(10)「消滅可能性都市からのリベンジ」、高野之夫豊島区長
(11)「テレワーク定着もオフィス床は減らず」、トーセイ山口誠一郎社

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 日本は経済大国だ──。

 そう言われて久しい。国内総生産(GDP)は2010年に中国に抜かれたものの、米国、中国に次ぐ世界3位を維持する。しかし、その経済規模とは裏腹に、一向に増えないデータがある。ユニコーン企業の数だ。

韓国の背中を追う日本

 ユニコーン企業とは、企業価値10億ドルを超える未上場企業のこと。ユニコーンという幻の生き物に例えられるほど、かつては珍しい存在だったが、年々増え続け、今や世界に1100社以上ある。

 22年6月下旬。米調査会社CBインサイツがまとめた「ユニコーン企業完全リスト」を眺めると、企業価値上位10社の輩出国は上から次のような顔ぶれだった。中国、米国、中国、米国、スウェーデン、オーストラリア、英国、米国、米国、英国……。

 Japan(日本)を探すも、なかなか見つからない。最初の一社が確認できたのは400位台に差し掛かったころだった。結局、1100社超が名を連ねるリストに日本のユニコーンは6社しか含まれていなかった。

 米国は600社を超え、中国は200社に迫ろうとしている。それに続くのはインド、英国、ドイツ、フランス、イスラエル。アジアではシンガポールや韓国が2桁に乗せ、日本の少なさが目立っている。

 勢いのあるスタートアップを生み続けられなければ、日本経済は早晩、尻すぼみになるだろう。その先に待つのは、新興国に追い抜かれる未来だ。最悪のシナリオを回避するには人材と資本が集まる首都・東京から変化を起こさなければならない。

 起業家を生み、育てるスタートアップエコシステムの構築へ。劣勢からの巻き返しに向け、東京のあちこちで「スタートアップ倍増計画」ののろしが上がっている。

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この記事はシリーズ「岐路に立つTOKYO ~進化か、衰退か~」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。